Density-dependent impact on development and death at larval stages of the tiger beetle, Cicindela japonica

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  • ナミハンミョウ幼虫期の成長と死亡に影響する密度依存的な作用

Description

ナミハンミョウの幼虫は、裸地に縦孔の巣をつくる待ち伏せ型の捕食者である。幼虫の巣孔が集中していれば、食物を得る機会が減少すると考えられ、近傍個体の分布状態が、個体の生存、成長に影響することが予測される。巣孔の位置は、成虫になるまでほぼ変わらないため、各個体の経験する密度を精密に求めることができる。幼虫の直接的な死亡要因としては、飢餓、脱皮の失敗等が挙げられる。私たちは、幼虫の成長や死亡が、どのような要因によって左右されるかを調べた。<br><br>調査プロットを6カ所設け、その中の幼虫を全て個体識別し、約2日に一度その齢や生存、死亡を記録した。また、幼虫巣孔の詳細な分布地図を作製した。幼虫の生死に大きく影響しうる要因として、幼虫密度、餌密度、生息場所の質が考えられた。幼虫密度としては、各個体の実際に経験する混み合いの程度を求めるために、各調査日の個々の巣孔を中心とする半径5cm内に巣を構える他個体を齢別に数え、近傍他個体密度として計算した。これらの要因が、どの程度幼虫の成長と死亡に影響しているのかを評価するために、ロジスティック回帰分析を用いた。影響を及ぼす要因は、齢期ごとに異なる可能性があるので分け、回帰分析において、個体ごとに次の齢段階に進めたか、進めなかったか(三齢は羽化したか否か)を基準とした。<br><br>その結果、幼虫の成長と死亡を左右する要因は、一齢期では、幼虫密度、餌密度、生息場所、二齢期では、幼虫密度と生息場所、三齢期では、幼虫密度と生息場所であった。また、オッズ比から、一齢から三齢を通じて、幼虫密度が最も影響を及ぼしており、同齢以上の幼虫密度が大きく影響することも明らかになった。一方、齢期が進むごとに幼虫密度は低くなるので、幼虫期の密度は、個体群の調節機構として働いていることが示唆された。本研究では、幼虫が実際に経験する密度を個体の周囲の他個体数として測定することで、その効果を検出できた。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205690236416
  • NII Article ID
    130007011648
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.348.0
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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