カキツバタ群落の20年の動態

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抄録

国指定天然記念物・小堤西池カキツバタ群落(刈谷市)の保護増殖研究の一環として、永久枠6ヶ所(PQ1_から_6)とベルト3本を1984,85年に設置し、毎年群落調査を行なってきた。それをカキツバタ群落の20年間の動態としてまとめた。<br> (1) 永久枠法から得られたもの<br> PQの調査では、20年の間にカキツバタが増加したもの(PQ1,3)と減少したもの(PQ4,5)、及びそのほか(PQ2,6)に分かれた。<br> カキツバタが減少したもの(PQ4,5)では、その減少はヨシ、アンペライの増加による生物的な競争による結果と考えられる。この現象は、管理(除草作業等)が行なわれなかった時の様子を表わしているといえる。このコドラートでは、ヨシとアンペライの競争も興味深い。<br> カキツバタが増加したもの(PQ1,3)では随伴種のチゴザサ、イヌノハナヒゲが減少していた。この理由には水位の変化(増加)が考えられる。以前(1990)、カキツバタの生育環境を土壌厚と水深で説明し、植生管理の方法を提案した。現在のカキツバタの純群落の形成は、その環境条件が作られているためと考えられる。ただ、水位変化は多くの植物種に影響しており、出現種数の減少しているのもこのためと考えられる。<br> そのほか(PQ2,6)のグループのうち、PQ6は、調査開始時からカキツバタの純群落であった。PQ2は岸辺に近い湿地状の場所で、出現種や優占種は年毎に変化していた。<br> (2)ベルトトランゼクト法から得られたもの<br> ベルトAでは、微地形が出現種に影響している。島状地では出現種類数が多く、カキツバタはこの部分では少ない。20年の変化では、カキツバタはやや減少傾向であり、出現種数は減少している。<br> ベルトBは水位が先から基に向かって徐々に浅くなり、微地形的には単調である。出現種数は全域で少なく、全域がカキツバタの純群落的な状態になっている。出現種数は90年まで減少しその後一定である。<br> ベルトCの20年間は、カキツバタは徐々に増加しており、出現種数は94年を境に減少した。

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  • CRID
    1390001205690689280
  • NII論文ID
    130007012454
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.664.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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