ヒシバッタ類における自切のコスト

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タイトル別名
  • Inter-species comparison of locomotive cost associated with hind leg autotomy in pygmy grasshoppers

抄録

自切は、捕食者に襲われた際に体の一部を犠牲にして捕食を回避する行動であり、いくつかの分類群においてみられる。自切の研究は、自切後の個体の運動能力に及ぼす影響について主にトカゲにおいて研究がなされてきたが、昆虫類におけるそれは、ナナフシ等における自切後の組織再生の生理的研究に限られてきた。そこで本研究では、後脚の切断という明らかに大きなコストを負いそうなバッタ類(ヒシバッタ)の自切行動が、その後の運動能力にどの程度影響してくるのかを定量化した。また、その際、捕食者に対する防衛戦術の異なる(行動的防衛と物理的防衛)近縁種の比較によって、自切行動の、他の捕食回避戦術への影響を評価した。<br>その結果、どちらの種においても跳躍能力に関しては、明らかな低下が見られた。しかし、巧みな跳躍(行動的防衛)により捕食回避を行うハラヒシバッタは、跳躍前の動きによって、その低下を補うという行動の変化が現れた。一方、非常に固い前胸背板や側棘物理的防衛)を採用しているトゲヒシバッタでは、じっとして跳躍による回避を遅らせるという変化を見せた。これらの結果は、自切のコストを、おのおのが採用している防衛戦術に合わせて補っていることを示している。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205690698496
  • NII論文ID
    130007012471
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.656.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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