メダカの尻鰭における性的二型の緯度間変異とその遺伝的および可塑的変異成分について

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タイトル別名
  • Latitudinal variation in sexual dimorphism in anal fin and its genetic and plastic variance components in the medaka fish

抄録

性淘汰の研究では,性的二型の種間/集団間変異は性淘汰の強さの変異を反映すると仮定されることが多いが,果たしてこの仮定はどの程度正しいだろうか?メダカIOryzias latipes/Iでは,成熟に伴って雄の尻鰭が伸長し,尻鰭の形態に性的二型があることが知られている。緯度の異なる9地点(青森県十三湖、秋田県能代、秋田県五城目、新潟県鶴岡、新潟県村上、新潟県柏崎、石川県氷見、福井県あわら、京都府舞鶴)から採集した野生個体の尻鰭の形態を比較したところ、低緯度の集団ほど性的二型の程度が大きいことがわかった:低緯度ほど雄の尻鰭が長い一方,雌の尻鰭の長さは緯度間で差が無かった(あるいは若干高緯度の方が長かった)。また、実験室で孵化させたこれら9集団の稚魚(第二世代)を共通の環境条件(28℃,14L:10D)のもとで発生/成長させても,低緯度集団に由来する雄ほど尻鰭が長くなる傾向があり,尻鰭の性的二型の緯度間変異には遺伝的基礎があることが明らかになった。しかし,野生個体で見られた性的二型の集団間変異には,各集団のさらされる環境条件の違いに起因する可塑的変異成分が含まれるかもしれない。講演では,異なる水温環境で発生/成長させた実験室個体の尻鰭の形態を比較し,性的二型の程度に与える水温の影響,ならびに遺伝と水温の影響の共分散に関する検討を行う。それらの知見から,メダカの尻鰭における性的二型の緯度間変異を形成する要因(性淘汰vs.水温の影響)について考察する予定である。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205690921472
  • NII論文ID
    130007012779
  • DOI
    10.14848/esj.esj52.0.352.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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