調味濃度に対する味覚と嗜好

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タイトル別名
  • Taste for the concentration of seasoning

抄録

<目的> 著者らは塩味、うま味、甘味の味覚および嗜好の官能検査と食生活のアンケート調査によって、味覚および嗜好と食生活の間に密接な関連があることを明らかにしてきた。その過程で、市販調理済み食品に多くみられる高塩分濃度の製品を、低塩分濃度の手作り食品と比較して識別を求めても、その濃度差を識別できない問題点が多くみられた。そこで、ここでは塩味とうま味との関連に着目し、塩味とうま味が共存する時の、調味濃度に対する感じ方、嗜好などをみるとともに、食生活との関連を検討することとした。<方法> 大学生を対象に、塩分の濃度差識別能、みそ汁におけるだしの嗜好、すまし汁、チャーハンにおける化学調味料濃度への嗜好およびホワイトソース、卵とうふ、肉のすり身焼きにおける調味濃度の識別能と嗜好を官能検査によって調査した。同時に、アンケート調査によって食生活への意識や実態を調べ、味覚・嗜好との関連を検討した。<結果> 1:かつお節だしみそ汁より、だしの素使用みそ汁のほうが好まれた。2:すまし汁やチャーハンでは、うま味濃度のもっとも高い試料がもっとも好まれた。また、うま味濃度の高い試料を一番おいしいと感じた理由は、「味が濃いから」であった。3:塩分濃度を一定にし、うま味濃度をかえて調製した試料では、うま味濃度が高い試料を塩味が濃いと感じる人が卵とうふ、ホワイトソース、肉のすり身焼きの順で多かった。4:うま味の濃度差識別に正答した人では、うま味濃度の低いほうの試料を塩味が濃いと判断し、誤答した人では、うま味濃度が高いほうの試料を塩味が濃いと判断していた。5:自己の家庭での調味濃度が高いと考えている人は、高濃度調味を好む率が高かった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205691148672
  • NII論文ID
    130007013142
  • DOI
    10.11402/ajscs.15.0.98.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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