モンゴル・カラマツ斜面における樹液流観測に基づく蒸散量の推定

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タイトル別名
  • An estimation of evaporation at larch forest slope in Mongolia based on sap flow measurements

抄録

モンゴル北部の山岳地域は,南向き斜面に草原が広がり,北向き斜面に森林が分布し,南から北にかけて草原から森林へと移り変わる特徴的な植生の漸移帯である.同時に,森林斜面には地下に永久凍土が分布するのに対して,草地斜面には分布が認められず,土壌の水文気候環境も異なっている.本研究では,この特徴的な植生景観を示す地域における水循環過程を明らかにする一環として,カラマツ(Larix sibirica Ledeb)を優占種とする森林面からの蒸散量を推定するため,Granier法による樹液流測定を行なった.研究地域は遠隔地であるため,バッテリー電源による間欠運転による樹液流測定を試行し,7月_から_10月までの季節変化を測定した.樹液流速の季節変化から,樹冠を構成する個体の樹液流速は,樹冠下の個体のものに比べて約3倍大きかった.また,辺材面積を考慮した樹液流量は,蒸散が最も活発と考えられる7月においては,樹冠の個体は樹冠下の個体に比べて約15倍大きかった.樹液流の変化は基本的に,入力の日射量(光合成有効放射量)と関係しており,夏季の土壌水分低下に伴う水分ストレスは明確には認められなかった.一方,8月以降は,低温日を境にして樹液流が低下しており,カラマツの葉のフェノロジーと対応する様子が確認された.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205691223936
  • NII論文ID
    130007013244
  • DOI
    10.14848/esj.esj52.0.477.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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