角田家地球儀について

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タイトル別名
  • An Examination of a Terrestrial Globe Preserved by Tunoda Family
  • カクダケ チキュウギ ニ ツイテ

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抄録

<BR> ここで報告する地球儀は、幕末駿河大宮(富士宮の寺社領と天領)在住の角田桜岳により製作された地球儀で、桜岳の手代、女中はじめ、木工、金工(飾り職人)、浮世絵画家、交友関係にあった浅草天文台の技官や地理学者らとの協労により完成している。安政2年頃より地球儀の製作に着手し、完成年は翌安政3年11月である。地理学者の中には新発田収蔵の名もあり、この製作に深く関わったことが知られる。地球儀は球体、地平環、子午環、脚と台座からなり、地平環の直径は293 mm (内径, 205.5 mm), 厚みは11mmである。球体の直径は198.6 mmで南北極の地軸部で直径214.3 (内径207 mm)の真鍮製子午環に固定される。球体は紙製張り子で、表面に世界図(コ゛ア)が貼り付けられている。この世界図の清書は歌川芳盛に係る。残念なことに、手代の記録でも製図者名と製図過程の記載はないため作図者は不明であるが、彼の交友関係者の中で球体の直径に対応するコ゛アの縮尺など高度な知識及び製図技術を有する者は、新発田収蔵のみであり、彼が編図から製図までを一手に引き受けたものと推定される。地平環に貼り付けられた木版の紙には方位角、十二宮、閏年間の暦月日、360度目盛などが示され、当時の地球儀の中でも、西欧製地球儀に忠実であると言えよう。コ゛アは10度毎に経緯線が引かれ、黄道と30度毎の十二宮のシンホ゛ルが記されている。

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