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Problems and Future Measures of the 2005 Population Census
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- HATAKEYAMA Teruo
- The Institute for Public Policy in Kanagawa Prefecture
Bibliographic Information
- Other Title
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- 平成17年国勢調査の問題点と今後の対策
Description
<BR>1.はじめに<BR> 平成17年国勢調査では、住民の調査拒否に伴う調査員の大量辞退、調査票の紛失、偽調査員による調査票の回収など、さまざまな問題がマスコミで報道された。これらの報道や個人情報保護法の施行に伴うプライバシー意識の高まりなどにより、調査票の未回収率が高くなった。<BR> 総務省によると、全国における調査票の未回収率は、4.4%(平成12年は1.7%)であり、都道府県別では東京都が13.3%と最も高いように、大都市部を中心に調査票を回収できなかった割合が高い。このため、悉皆調査としての平成17年国勢調査の精度は低いといわざるを得ない。それゆえ、国勢調査を使用して地域差を分析し、地域特性を明らかにすることがこれまで多く行われてきた地理学において、統計の精度が低く、また地域によって回収率が大きく異なっていることは、地域分析の手法の再考が必要な事態となっている。<BR><BR> 2.調査票の未回収率が高かった要因<BR> 調査票の未回収率が高くなった要因は、調査員が世帯を訪問しても接触できない(不在、調査拒否、居留守など)、世帯が調査票を提出したいときに提出できないなど、現行の調査員による調査票の直接配布・回収の方法に限界がきているといえる。また、個人情報保護法は、国勢調査には適用されないにもかかわらず、法律を楯に調査拒否をするなど、国勢調査への国民の理解が低いことも原因となっている。<BR> 調査票の未回収率が高いのは、大都市部における若者の単身者層が多く居住している地域である。報告者が首都圏の大学生224人を対象に実施した国勢調査の認知度に関するアンケート調査によると、国勢調査の実施間隔49.1%、最近の実施年47.3%、国勢調査の義務性45.1%、回答拒否・虚偽申告による罰則12.1%、調査結果の活用方法(8種類の平均)48.8%などいずれも認知度が過半数にいたっておらず、大学生の国勢調査への理解度が低い実態が明らかとなった。<BR><BR> 3.国勢調査に関する政府の対応<BR> 平成17年国勢調査において、調査票の未回収率が高かったことを受け、総務省は2006年1月に「国勢調査の実施に関する有識者懇談会」(座長:竹内啓東京大学名誉教授)を設置し、原因や今後の対策について議論した。そこでは、調査票の配布・回収方法の見直し(郵送、インターネットなど)や国民の理解および協力の確保(広報の展開、マスコミ活用、中長期的な教育)などが提言された。その後、この懇談会による報告を受け、2006年11月に「平成22年国勢調査の企画に関する検討会」(座長:堀部政男中央大学教授)が設置され、次回の国勢調査の実施へ向けて、現在議論をしているところである。<BR> これらの会議における議論は、これまでのところ配布・回収方法などの方法論が主となっている。国勢調査への国民の理解については、議論はされているものの、具体的な対策はまだ出されていない。<BR><BR> 4.おわりに<BR> 国勢調査の未回収率が高かった要因には、若者の調査への理解度の低さがあげられるが、国として調査の理解度の上昇に対する具体的な対策はまだ考えられていないようである。調査への国民の理解が得られないまま、郵送やインターネットによる配布・回収をすることになれば、さらに回収率が低くなることは確実である。国がマスコミ等を利用し、調査に関する理解度を得ようとしても限界はある。また、中長期的に小中高校などにおいて教育をすることは意義があるといえるが、次回の調査時には間に合わない。<BR> そこで、国は社会学、行政学、統計学などの国勢調査を活用する学界(会)への依頼を通して、大学における教育を促す必要がある。地理学界(会)としても大学における講義を通して、学生への国勢調査への理解度を上げることが、平成22年国勢調査の回収率を上げる一助となると同時に、地域分析の有効な一指標として国勢調査を位置づけられよう。<BR> また、平成17年の国勢調査については、使用時に回収率に応じた補正が必要であると考えられる。しかし、総務省は都道府県単位での未回収率しか公表していないため、最低でも市区町村単位における一律の未回収率の公表が望まれる。
Journal
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- Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers
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Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2007s (0), 12-12, 2007
The Association of Japanese Geographers
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205691702144
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- NII Article ID
- 130007013822
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed