岩手県の家庭料理 おやつの特徴

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書誌事項

タイトル別名
  • Iwate home cooking characteristic of snack
  • ―日常のおやつと行事のおやつー
  • Snack of daily and event

抄録

【目的】岩手県の伝統的な家庭料理を地域ごとに調査する過程で,世代を超えて受け継がれている料理がある一方で,途絶えてしまう料理もみられた。そのなかで,昭和30~40年代に日常的に食べられていたおやつと行事の時に食べられていたおやつが,現在ではどのような存在として食べられているのかを検証する。<br />【方法】聞き取り調査は,岩手県を7地域(県北・県央・中部・北上高地南部・県南・沿岸・奥羽山系)に分け,平成24~26年にかけて実施した。調査内容は,昭和30~40年代と現在の家庭料理についてである。対象者は,岩手県「食の匠」認定者を中心として選んだ61~96歳の女子18人で,地域に56~93年間居住している。<br />【結果】県北では日常は炒り豆や野菜を主に食べた。山の神様の年取りには青大豆と米粉で「豆すっとぎ(豆しとぎ)」を作り供えた。その他の行事には小麦粉で「みみっこもち」や,そば粉で「うちわもち」,雑穀粉で「うきうきだんご」を作った。県央では蒸かした野菜,果物,小麦粉で「がんづき」,米粉で「かますもち」「うちわもち」を作った。北上高地南部では雛祭りに粳米粉と糯米粉で「ひなまんじゅう」「きりせんしょ」を作り供えた。中部・県南ではおやつを「たばこ(たばこどき)」といい,「がんづき」「げんべた」を作り,冬には「甘酒」も作った。大師講の日(旧暦11月24日)には小麦粉や米粉で「果報だんご」を作った。沿岸では「豆しとぎ」「がんづき」「ひゅうず」を作り,奥羽山系では「凍みもち」「そばもち」「わらびもち」を作った。昭和30~40年代のおやつは,自給自足で賄える材料を使い,穀類を余さず使って食べる工夫がなされていた。現在は地域差がなくなっている。「うちわもち(そば粉)」、「わらびもち」はほとんど見られない。「かますもち」「がんづき」「うちわもち(米粉)」は日常のおやつとして食べている。また「ひなまんじゅう」「果報だんご」は行事のおやつとして食べ継がれているが,「きりせんしょ」は日常のおやつとして食べている。「豆しとぎ」は12~3月に道の駅などで売られ,一般家庭で作ることは少なくなった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205692315264
  • NII論文ID
    130006035113
  • DOI
    10.11402/ajscs.29.0_209
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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