帯状高気圧時における名古屋市のNO2濃度分布

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  • Distribution of NO2 Concentration during a Zonal Traveling Anticyclone in Nagoya City, Central Japan

抄録

_I_ 研究目的 近年,地球温暖化にともなう亜熱帯高圧帯領域面積の拡大によって,移動性高気圧の形状がセル状高気圧から帯状高気圧に移行しつつあることが明らかになってきた(大和田・石川,2002)。通常,移動性高気圧に覆われた状態では,接地逆転,および沈降性逆転が発達し,大気汚染が発生しやすい(原田,1966)。したがって,移動性高気圧の帯状化は,ヒートアイランド,および逆転層を強化し,都市における大気環境の維持をより困難にさせていると考えられる。そこで,名古屋市におけるNO2濃度の旬別変化を調べてみたところ,11_から_12月にかけて高濃度となることがわかった(図1)。これは,移動性高気圧が春季および秋季に多く現れる気圧配置であることによるものである(吉野・甲斐,1975)。特に晩秋季は,日照時間が短くなるためヒートアイランド強度が強まって高濃度になると考えられる。以上のことをふまえ,本研究はNO2濃度が最も高くなる11月下旬の帯状高気圧時における名古屋市のNO2濃度分布を把握することを試みた。_II_ 観測期日および観測方法 観測は,帯状高気圧に覆われた夕方ラッシュ時(2005年11月26日17時03分_から_21時30分)に行った(図2)。観測方法は,名古屋市とその周辺地域における47地点であり,自動車5台による移動観測である。また,NO2の測定には北川式真空法ガス検知器を使用した。これと同時に気温,および風向・風速についても観測した。_III_ 結 果 観測結果を図3に示す。この時のNO2濃度の平均値は0.04ppmであったが,0.06ppm以上の高濃度地域は,港区から中心部を通る北東方向にかけて広く分布していた。特に,0.08ppm以上となった地域は,千種区,昭和区,中村区,春日井市,長久手町,および南区南部である。これらの地域は,いずれも交通量の多い幹線道路が通っており,自動車から排出されたNO2が停滞していたと考えられる。参考文献大和田道雄・石川由紀,2002:地球温暖化にかかわる中緯度高気圧の変化_-_最近の北半球における亜熱帯高圧帯の面積拡大傾向と移動性高気圧の帯状化との関係について_-_.地球環境Vol.7,117-127.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205692730880
  • NII論文ID
    130007015289
  • DOI
    10.14866/ajg.2006s.0.113.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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