津波防災情報の発信・認知・理解

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タイトル別名
  • Distribution, Cognition, and Understanding of the Information for Tsunami Disaster Mitigation
  • distribution by the regional government, and sharing by the inhabitants
  • 行政による情報発信と地域住民による情報共有

抄録

【 はじめに 】<BR>  演者らは,2007年能登半島地震発生時の住民行動に関するアンケート調査(林・青木,2008:青木・林,2009)から,災害に関する知識・情報の事前取得状況が被災時の行動を規制しており,適切な情報を持っていた住民は適切な避難行動を取っていることを明らかにし,適切な情報提供が地域防災力の向上に有効であることを指摘した.その一方で,住民による防災情報の取得・理解は充分ではないことも明らかとなった.住民による防災情報の理解を進めるためには,行政側が地域環境に対応した防災情報を分かりやすく発信することと,住民側が自らの地域の課題として防災情報を積極的に受け取り・受容することの両面が必要となろう.<BR>  そこで本研究では,住民の防災情報の取得・理解を支援することを目的に,津波防災を事例に,_丸1_行政による,地域環境に対応した望ましい防災情報の発信方法を収集・整理するとともに,_丸2_地域住民自身による,地域環境の理解とイラストマップなどの地図情報を活用した防災情報の受容・共有・再発信の過程と方法についての調査を進めている.本発表ではその中間報告として,特徴的な事例について紹介する.<BR> <BR> 【 看板・掲示を用いた情報発信 】<BR>  大規模地震による津波被害が予想されている地域の自治体(北海道道東,三陸,東海・東南海・南海などの沿岸地域)では,さまざまな防災施設の設置やハザードマップの作製が進められると共に,住民への防災情報の発信を目的に看板や掲示などが数多く設置されている.<BR>  同じように被災危険性が高い隣接した自治体であっても,宝くじ協会の補助金により設置された画一的な掲示のみが設置されている場合と,自治体独自の工夫された情報発信が行われている場合とがある(写真1).こうした工夫された事例を共有することで,より効果的な情報発信を進めることができるだろう.<BR> <BR> 【 住民による防災情報の取得と再発信 】<BR>  被災の地域性が顕著である津波防災では,被災可能性がある地域が,主体的に自地域の防災情報を取得・共有し,地域防災力を高める必要がある.ハザードマップはそのツールとして注目されているが,その一方で「表示が煩雑」「わかりにくい」などの指摘もある.わかりにくい防災情報を取得し,地域の言葉・地域の空間性を基に再構築・再発信し,地域全体で共有するプロセスに着目する必要があろう.<BR>  発表では,土佐清水市中浜地区の自主防災組織によるイラストマップを用いた情報の再構築・再発信(写真2)や,防災情報の共有を目的とした活動状況に加え,小学校の地域学習・総合的学習の時間などで作成された地域のハザードマップなどを紹介したいと考えている.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205692744832
  • NII論文ID
    130007015302
  • DOI
    10.14866/ajg.2009f.0.130.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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