土地利用と造成の履歴に着目した都市土壌の評価手法の検討

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タイトル別名
  • A study on evaluation of urban soils focusing on land creation history of urban parks
  • 北の丸公園を事例として

抄録

研究背景と目的<BR> 都市部ではひとつの場所が様々な土地利用履歴をもつ.大規模用地では,土地利用の変化には造成が伴うことが多い.造成が行われることによって,まず物理性の面では,土層が破壊され,各層位が混じり合う.それが,場所によっては数メートルに及ぶこともある.また造成時の重機や造成後の建物による圧密を受け,土壌は堅密な状態になっていることが多い.次に化学性の面からは,造成に伴う瓦礫やガラス,または汚染物質等の人工物の混入により都市土壌は自然土壌とは異なる化学的性状をもつと予想される.すなわち,造成を起点として,都市の環境での固有の風化・土壌生成作用を経ながら土壌として発達していくのが都市土壌の大きな特徴である.<BR> そこで本研究では,土地利用履歴や造成履歴という新たな観点を加えて,都市土壌を理解、評価するための方法の検討を行うことを目的として,都市公園土壌を事例に調査ならびに分析を行った.<BR>対象地域と研究方法<BR> 土地利用の履歴が残されており,かつ土壌調査が可能な場所として,本研究では東京都千代田区北の丸公園を選定した.北の丸公園は現在に至るまで,様々な形態で利用されてきた場所である.戦後,公園として整備されることが決定し,大規模な造成を経て,昭和44年4月に開園された.現在は,国民公園皇居外苑北の丸地区として環境庁によって管理・運営されている.さらに比較対象として,大規模な造成が行われていない東京都目黒区の自然教育園において調査とサンプリングを行った.<BR> 都市土壌としての特徴を把握するための土壌調査と土壌分析は,自然土壌や農耕地土壌の手法を適用することが制約上難しいだけでなく,評価の観点を見据えた新たな手法の開発が必要である。そこで,本研究では,土壌硬度を用いて人為的負荷が反映されると報告している平山ほか(1978)を参考に,長谷川式土壌貫入計(ダイトウテクノクリーンH-100)を用いて土壌の鉛直方向の相対的な土壌硬度を測定し,物理的性状を調べる.また,1m検土杖(大起理化工業DIK1640)を用いて土壌採取を行い,pH(H2O), pH(KCl), pH(NaF), MI(MelanixIndex), C, N含量, Al, Feの存在形態別定量,元素組成分析(Caや微量重金属),鉱物特性等の分析項目について,少量のサンプルによる分析方法の検討を含めて化学的性状を把握する.<BR>結果と考察<BR> 土地利用履歴から,北の丸公園は屋敷用地として使われていた時期,軍の駐屯地や国の諸機関によって使われていた時期,公園として使われていた時期の3時期に分けることができる.これらの土地利用履歴を基に園内をエリア区分し,調査・サンプリングを行った結果,土壌硬度については,造成や土地利用の履歴などの人為的負荷の影響を反映した結果が得られた.<BR>参考文献<BR> 株式会社東洋コンサルタント 2008. 皇居外苑管理事務所北の丸分室敷地調査業務報告. 国営公園工事事務所 1980.<BR>『国営公園工事事務所の歴史』. 関東建設弘済会.<BR>平山良治ほか 1978. 自然教育園の土壌図. 自然教育園報告.8: 39-59.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205693070464
  • NII論文ID
    130007015766
  • DOI
    10.14866/ajg.2009s.0.211.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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