地すべり地特有の地域環境と地震性地盤災害

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タイトル別名
  • The environment of landslide area and the disaster caused by the Mid Niigata Pref. Earthquake 2004

抄録

2004年10月26日に、新潟県中越地方で発生した新潟県中越地震は、山古志村を中心として甚大な地盤災害を引き起こし、現在も全村避難が継続している。東頸城丘陵を中心とするこの一帯は古くから地すべり多発地帯として幾多の土砂災害に見舞われてきた。地すべりに孤立する雪深い松之山町の姿を1980年当時のニュースは伝えている。松之山町の地すべり災害から時を経て、この地は今や魚沼産コシヒカリの産地として脚光を浴びている。錦鯉の産地である山古志村にしても、この地を訪れる人々の多くは、雑木林と棚田が重なり、養魚池が夕日に照りかえる景観を心に留めて、「なんとも豊かな農村だな」との感慨にひたることができた。私自身、数年前から栃尾市・山古志村などを学生と一緒に歩き、地すべり活動が生み出す、小さいが複雑で豊かな土地自然を紹介する巡検を始めており、昨年は防災科研が順次発刊している地すべり地形分布図の作成を、この地域一帯を対象としてお手伝いもさせていただいた。 新潟県中越地震約1ヵ月後に日本地すべり学会と日本応用地質学会合同調査団の一員として現地を見る機会を得た。この報告は既に両学会のホームページに日英両語で掲載されており、昨年12月にタイで開催された学会でも緊急報告を行っている。これらは緊急の報告でしかなく、綿密な調査は雪解けを待って再開することになろう。本シンポジウムでは、僅かな観察例に基づく予察的な話にしかなり得ないことを前提としつつも、地すべり地域の土地自然特性の多様性や有用性を強く意識している地すべり地形学者の一人として、被災地の地震被害前後の地形条件をやや細かく観察し、いわゆる水起源の地すべりと地震起源を地すべりとでは、その発生や性状にどのような異同があるかを理解したい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205693245824
  • NII論文ID
    130007016114
  • DOI
    10.14866/ajg.2005s.0.70.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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