富山県における初誕生までの儀礼と食べ物

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タイトル別名
  • Rituals and foods until the first birth in toyama
  • 昭和前期と平成期を比較して
  • Comparison of the early showa and heisei periods

抄録

 【目的】子どもの成長を願い、現在も受け継がれている満1歳までの儀礼として食い初めと初誕生がある。本研究では、生活様式の変化に伴い伝統的・文化的習俗が薄れつつあるなかで、子どもにとって大切な両者の儀礼が昭和前期と平成期ではどのように変化したかを比較し、富山の通過儀礼の変遷について明らかにすることを目的とした。<br> 【方法】調査対象者は、富山県で学童期を過ごした富山短期大学食物栄養学科および同大学専攻科の保護者106名とし、回収率89%で有効回答は81名であった。調査時期は平成26年6月とし、選択式・記述式回答により行った。調査内容は、①対象者の属性(生年・性別・結婚年、小学生、結婚時の住所・居住地区・家族の職業、第一子の性別・年齢)、②食い初めの祝い方、祝い日、祝い膳、③初誕生の祝い方、食べ物、④食い初め、初誕生の思い出とした。<br> 【結果】食い初めの祝いを行ったのは平成期が87%、昭和前期が89%でやや減少したが高い割合で行われていた。食い初めは全体の89%が100日目に行い、祝い方は「家族や実家の両親と共に祝った」「小児用の膳、食器を特別に準備した」が最も多かった。祝い膳は鯛の焼き魚を主役に赤飯や貝類とみつばの清し汁、煮物であった。富山らしい食べ物として鯛の形をした「かまぼこ」も並べられたが、ハンバーグやサラダ、プリンを準備したという回答もあった。初誕生は全体の94%が祝ったと答え、食い初めより多く祝っていた。呉東が誕生もち、呉西が紅白もちを準備し、そのもちを「背中に背おわせる」が多かった。おはぎは呉西でみられ、甘い子に育たないように、甘い親にならないように甘くないおはぎを「尻に打つ、尻にあてる」行為がみられた。昭和前期に比べると現在ではあまり形式にこだわらず、各々の家族で思い思いの祝い方で行っている様子を伺い知ることができた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205693331968
  • NII論文ID
    130005489637
  • DOI
    10.11402/ajscs.27.0_188
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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