野菜焼成時における機能性成分変化に関する研究

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タイトル別名
  • Change in a functional ingredients of vegetables before and after heating

抄録

【目的】野菜を焼成すると,温度上昇と共に物理的および化学的変化が起こる.化学的変化として,細胞壁の主成分であるペクチンの軟化や栄養成分や機能性成分の変化,呈色反応等が起こる.本研究では,ナスを焼成した際の化学的変化のひとつである機能性成分の変化について取り上げ,伝熱進行に伴う機能性成分の増減を予測計算できるようにすることを目的とする.今回は主に,ナスの主要なポリフェノールであるクロロゲン酸の挙動に着目した実験について報告する. <br> 【方法】高知県産のナスを試料とし,試料形状および焼成方法の異なる二つの方法で実験を行った.すなわち,①ナスを1cmの輪切りにして,ガスオーブンで焼成した場合,②ナスを縦方向の半切りにして,上火式電気魚焼き器で焼成した場合の二種類の方法を実施した.各焼成後のナスおよび,各個体の未加熱ナスからクロロゲン酸を抽出し,HPLCで分析し,乾燥重量基準としてクロロゲン酸量を算出した. <br> 【結果】まず,輪切り焼成ナスのクロロゲン酸量に関して,焼成によって減少する場合と,逆に増加する場合とが見られた.クロロゲン酸は,コーヒー酸とキナ酸が脱水縮合したものであり,熱に不安定で容易にコーヒー酸とキナ酸に分解する.これより,加熱処理によってクロロゲン酸量が増加する事は考えにくい.よって,ナス一個体における部位によって,クロロゲン酸含有量が異なる事が示唆された.次に,縦方向に半切りにする事で抽出領域を大きくした結果,未加熱,加熱処理間で含有量が逆転する事は解消され,加熱によってクロロゲン酸が減少していく様子がわかった.一個体の局在および個体間の差について,今後さらに検討していく必要があると示唆された.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205693364352
  • NII論文ID
    130005489667
  • DOI
    10.11402/ajscs.27.0_169
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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