埼玉県熊谷市猛暑日における関東平野およびその周辺の地上気象要素と0m気温の毎時解析
書誌事項
- タイトル別名
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- Hourly analysis of surface meteorological elements and 0 m air temperature in and around the Kanto Plain during intense heat at Kumagaya, Saitama prefecture
説明
I_.はじめに<BR><BR> 前回(盛岡大会)、熊谷猛暑日における日最高気温とその起時の解析の際に、熊谷の全日日照率に基づく晴天日・曇天日区分を行った。その結果、熊谷猛暑日163日中120日が曇天日と判定され、意外感を与えた。その実態を把握すること等を目的として、熊谷猛暑日における地上気象要素の毎時解析を試みた。また、熊谷猛暑におけるフェーン効果をアメダスデータを用いて解析するため、0m気温を温位の代替パラメータと看做し、0m気温分布もあわせて解析した。<BR><BR> II_. 温位代替パラメータ 0m気温 の提案<BR><BR> フェーンの際は山頂部付近の空気塊の温位が保存されて山麓部に至ることにより高温となるので、山頂~山麓部一帯の温位は均一にならねばならない。温位θ[K]は<BR><BR> θ=T(1000/p)0.2857<BR><BR> により定義される。ここで、T:気温[K]、p:気圧[hPa]である。定義式から明らかなように、温位θを求めるためには気圧のデータが必須であるが、アメダスは気圧観測を実施していないので、観測値による詳細な温位分布解析は不可能である。そこで、本研究は、温位θの代替パラメータとして下記のように定義される0m気温T0を提唱する。<BR><BR> T0=T+0.00976z<BR><BR> ここで、z:気温観測地点高度[m]である。当該空気塊が温位を保って海面高度に達した場合に示す気温を意味する。熊谷猛暑日163日間における軽井沢(999.1m)の温位と0m気温の散布図を作成した(図省略)。回帰式の勾配と切片が若干小さいものの、決定係数は99%を上回っており、0m気温を温位の代替パラメータとして扱うことの妥当性が支持される。<BR><BR> III_. 2007年8月15日~16日の解析事例<BR><BR> 熊谷で我が国最高気温40.9℃が記録された2007年8月16日とその前日の毎時解析を実施した。 最高気温起時14:42を挟む8月16日14:00と15:00の気温、風および降水量、0m気温の分布解析結果(図省略)では、日本海沿岸は日本海からの北~北西風場、南関東は南西~南風、北関東西部は北~北西風、北関東東部は東~北東風の場になっている。北関東西部の北~北西風は魚野川-利根川経由のギャップ流、北関東東部の東~北東風は会津盆地経由のギャップ流の影響も受けている可能性がある。0m気温は高所で高く低所で低いのが一般的であるが、熊谷付近を中心に山岳地域に匹敵する高0m気温が分布しており、猛暑地域と一致している。山岳地域と関東平野中心部との間には明瞭な低0m気温域が解析されている。これは、フェーン効果が付加されているとしても、その気流は地形面には沿わない関東平野上層部経由の下降気流が主体であることを示唆する。<BR> 猛暑日の14時~15時の軽井沢・熊谷温位差と熊谷の気温の散布図を作成すると(図省略)、熊谷が高温な時には温位差が低下する傾向が認められた。<BR><BR> IV_. おわりに<BR><BR> 現在、他の猛暑日について解析中である。日最高気温出現後、関東平野内で降水現象が頻発する傾向が認められるため、これが全日日照率を低下させている可能性がある。この点についても、当日発表する予定である。<BR>
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2009s (0), 126-126, 2009
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205693403904
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- NII論文ID
- 130007016302
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可