水上温泉における温泉地の実態と活性化への取り組み

書誌事項

タイトル別名
  • The reality of the hot spring ground and an action to activation in Minakami-Town

説明

1.はじめにバブル崩壊以降、慰安を目的とした企業の団体旅行が中心であった首都圏近郊の温泉地は、観光客のニーズの変化に対応できず、顧客の獲得に失敗し、衰退傾向がみられた。観光客は家族・夫婦などの個人旅行に変化し、また、交通手段も鉄道型から自家用車型に変化した。しかし、現在では行政や組合やNPOなどが様々な取り組みを行い、街の活性化をしている。 そこで本研究では水上温泉の現状を把握してから、周辺地域がどのような取り組みを行い、町に影響を与えているのかを考察する。2.水上温泉の実態 水上温泉は上越線が全線開通してから急激に発展した温泉地である。それ以降、町の産業は第三次産業の割合が高く、観光産業に特化している。水上町内の温泉地において水上温泉は町の入口に立地し、全国的にブランド性もあることで、観光客のシェアは非常に高い。観光客は東京を中心に埼玉、群馬、新潟からが多く、車なら関越道、鉄道なら上越線沿線のように交通条件に関係している。温泉街には町内唯一の商店街があり、観光客用の商店と住民用の商店が混合している。大規模化した宿泊施設内には飲食店・土産物屋・風呂などの付帯施設が充実し、宿泊客は温泉街を歩かなくなった。それに加え、水上町の人口もピーク時の半分まで減少し、水上町は過疎化や高齢化といった問題が生じている。温泉街に人が歩かなくなると各商店に影響を及ぼし、空き家や空き店舗が増加した。また、宿泊客減少で休業や廃業する宿泊施設も出た。すると、水上温泉は温泉街全体が衰退する傾向がみられた。 1987年のリゾート法の施行により、首都圏近郊ではリゾートマンションの乱開発に見舞われた。しかし、水上温泉では温泉街やその周辺地域には新たに建設可能な土地はなく、旅館の廃業跡地に建設された2棟のみであった。 3.水上温泉の活性化への取り組み 行政では『10万人増客大作戦』という取り組みを行っている。水上温泉旅館協同組合では女将さんがつくったしらざぎ会や、組合青年部はそれぞれ目標を持って取り組みをしている。周辺地域の自然や文化を活動対象としているNPO法人として、NPO奥利根水源地域ネットワーク、NPOユニバーサルスポーツ協会、NPO奥利根芸術文化アカデミーなどが水上温泉の上流部で活動をしている。観光客にニーズが多様化している現在、町は温泉だけにとらわれず、自然や文化も含めた周辺地域と一体となった活動が始まっており、温泉地活性化の方向性が示されつつある。参考文献関戸明子(2004)「北関東における温泉地の近代化」群馬大学教育学部紀要人文・社会科学編 53号201_から_221頁山村順次(1995)『新観光地理学』大明堂横山昭市(2003)「上越地方の温泉地とリゾート開発地の変容と課題」愛媛大学人文学会 第5号 1_から_14頁

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205693451904
  • NII論文ID
    130007016372
  • DOI
    10.14866/ajg.2005f.0.111.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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