咀嚼・嚥下困難者の食事におけるフレーバーリリース(第3報)

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • On the flavour release of meal for people with masticating and swallowing difficulties(Part 3)
  • -超音波の振動によるフレーバーリリース-
  • On the flavour release with vibration by ultrasonic waves

抄録

【目的】咀嚼・嚥下困難者の食事に用いられる「とろみ調整剤」は、香気フレーバーリリースを抑制するが、咀嚼を想定した圧縮応力を加えると、その一部が再び放散されることを既に報告した。香辛料「わさび」の主要香気成分Allyl isothiocyanate(AITC)は、物理的な刺激を加えることで特有の香りと辛味を生成することから、本研究では、超音波による振動を加えた際の香気フレーバーリリースを測定し、“におい”の消長の要因を探ることを目的とした。【方法】「わさび」は粉わさびを、「とろみ調整剤」はキサンタンガム系を用いて試料を調製した。蒸留水20mLを35℃まで加温し、「わさび」と「とろみ調整剤」を加えて手動(2回/秒)で1分間撹拌し、常温で30分間放置した後、超音波の振動(100W、35kHz)を加え、恒温槽で30分間“におい成分”を吸着した。「とろみ調製剤」添加濃度を3%、4%、5%、におい成分吸着温度を10℃、22℃、65℃に設定し、GC/MS-Olfactmetryを用いて、ヘッドスペースSPME法で香気成分の質量分析を行った。【結果】「とろみ調製剤」添加濃度3%、65℃の超音波を加えた試料に、揮発成分全体量の増加が認められた。また、揮発成分の内部比率については、65℃の試料においてEthylbenzene isothiocyanate の増加が顕著であった。これらの結果より、「とろみ調整剤」添加試料に超音波による振動を加えると、香気フレーバーリリースのバランスに影響を及ぼすことが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205693732992
  • NII論文ID
    130005481379
  • DOI
    10.11402/ajscs.26.0_63
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ