島根県邑南町須摩谷における農林地の放牧利用

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タイトル別名
  • Grazing on farmland and forest in Sumadani, Ounan Town, Shimane Prefecture
  • A case study of grazing association and group farming
  • 放牧組合と集落営農組織の取り組みを中心として

抄録

本研究では、島根県邑南町須摩谷を事例として、農林地の集落型放牧利用(放牧組合と集落営農組織)の存在意義と可能性を明らかにすることを目的とした。  須摩谷集落では、集落営農による水田耕作と農林地での放牧利用(粗放管理)によって、農林地の一体的な管理がなされている。補助飼料としての青刈り稲の導入は、転作対策、収穫期の労働配分、稲作と作業工程が類似している点が効果的であった。放牧を開始するための設備投資・維持には、その資金を集落協定や他の補助事業でまかなうことができる。したがって、当集落では助成の受け皿を当初は放牧組合が果たし、これを組織内で運用することにつなげた。須摩谷の集落型放牧では、放牧開始の4年後ぐらいから子牛の収益をのぞむことができる水準となっている。今後は、設備投資等のコスト削減を図りながら、飼養管理にも利益の一部を配分できるような経営を追求していくことが求められる。増頭を見込む場合、放牧牛を放牧環境と放牧密度の点から2ヶ所以上に分けて実施する、または隣接集落との提携において放牧地を拡大し、放牧管理の一部を代行してもらうことなどが考えられる。  本事例における農林地の放牧導入は、獣害対策にもつながる農業継続環境の整備、農林地管理の性格が強いといえる。「集落を守る」、「農地維持」としての性格を有する集落営農では、放牧利用が耕作放棄地も含めた農林地管理に有効であろう。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205694127360
  • NII論文ID
    130007017158
  • DOI
    10.14866/ajg.2009s.0.72.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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