Popularization of geography by using local food dishes

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  • 大学生の「ご当地グルメ」に対する認識
  • 地理の一般普及の視点から

Description

1. はじめに 地理の一般社会での認知(地位)向上のため、娯楽指向の一般人へ地理的視点を広めたい。それには一般の中でウケているサブカルチャーのコンテンツを活用するのが得策であろう。そこで演者らは、最近流行っているご当地グルメを活用して、そのご当地グルメの背後にある地理的な説明を広めることを考えた。その準備として古今の月刊地理60巻5号から「ご当地グルメで風土(フード)を理解する」という連載を行っている(長谷川2015)。ところで、そもそも一般の人たちは、「ご当地グルメ」に対してどのような認識を持っているのか。その予備調査として、大学生向けに「ご当地グルメ」に関する認識調査を行った。  <br> 2. 方法 今回の調査対象者は大学の1~2年生が中心である。サンプルは青山学院大(サンプル数377、以下同じ)、立正大(67)、明星大(32)、お茶の水女子大(55)、で有効回答数は合計531である。 質問内容としては、属性の他に、「ご当地グルメ」と聞いて思い浮かぶ料理名、「ご当地グルメ」に対するイメージ、「ご当地グルメ」を自分なりに定義するとどうなるか?という項目を聞いた。イメージや定義に関しては、回答の選択肢を設けるとそれに引きづられる可能性があると考え、自由記述とした。そのため、イメージや定義では微妙な記述の違いがあるが(例えば「その土地固有のもの」、「その地域ならではのもの」など)ある程度同じ意味と判断できるものは同じ回答として集計した。   <br> 3. 結果 「ご当地グルメ」と聞いて思い浮かぶグルメ名を複数回答で聞いたところ、一人あたり平均2.39、最高で一人17個、合計で1268の回答があった。それらをすべて集計しランキングした結果が右表である。グルメ名のランキングでは上位に料理の総称(ラーメン、焼きそばなど)が多くある中で、地域が限定される料理名(表中に*を示す)の富士宮焼きそばはダントツの首位となっている。531人のうち81人が富士宮焼きそばを回答していた。またトップ10のうち9つが小麦粉料理である。  「ご当地グルメ」という言葉から連想するイメージや定義についても質問しているが、これらの結果詳細は紙面の都合上、当日の発表にて報告したい。 <br>  4.考察 「ご当地グルメ」という単語自体は、その字面からすると、ある地域(その場所)にある食べ物、ということになるだろう。しかし今回得られた定義からは、「その地域ならではの料理」といった字面通りの回答がある一方で、地域活性化、町おこしなどといった全く別の意味合いの回答がかなりの数あった。 表1:「ご当地グルメ」から想起する料理名ランキング (*は地域が限定されている料理を示す)  この要因として、今の大学1、2年生世代は10年ほど前から始まったB-1グランプリなどの影響を強く受けていると考えられる。B−1グランプリは料理そのものの評価ではなく、まちおこしのストーリーに関するコンテストであり(田村2013)、このことをテレビなどを通して知った人は、“ご当地グルメ→B級ご当地グルメ(B−1グランプリ固有の呼び名)→B−1グランプリをテレビで見た町おこしストーリー”を連想しているという構図が見て取れる。このことは、表1において、B1グランプリ勝者の富士宮焼きそばが圧倒的上位にあったことによっても裏付けられる。  今回の調査は20才前後の対象者が中心であったが、団塊の世代など、B-1グランプリにあまり馴染みのない世代では違う結果が現れる可能性が考えられる。今後は一般人での調査を行いその認識も調べたい。   (本研究はロッテ財団奨励研究「ご当地グルメを通じて地域理解を促すための実践的研究」の成果の一部である。) <br> 参考文献: 長谷川直子(2015)ご当地グルメで風土を理解する(1)地理的視点とご当地グルメ.地理60(5) 田村秀(2013) ブックレット新潟大学 新潟と全国のご当地グルメを考える。新潟日報事業社.70p.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205694578560
  • NII Article ID
    130005490111
  • DOI
    10.14866/ajg.2015a.0_100100
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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