東日本大震災における茨城県東茨城郡大洗町の対応と 津波防災の取り組み
書誌事項
- タイトル別名
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- Tsunami Disaster Response and Prevention in Oarai Town Before and After the Great East Japan Earthquake
説明
茨城県東茨城郡大洗町は東日本大震災の津波被害を受けたが、その一方で津波による被害は住家屋被害が1,458棟(家屋損壊、床上・床下浸水の合計)、人的被害は死亡1名(関連死)、傷者6名で軽微であった。大洗町の被害が軽微であった要因としては、震源からの距離だけでなく、行政、自主防災会、住民、商業施設および観光施設、などの各主体の避難活動が機能したといえる。東日本大震災の発生から4年目を迎えた現在において、大洗町の建築物の復興はほぼ完了したが、福島の原子力災害の風評被害の影響や、今後の防災政策の転換中という状況下におかれている。これまでに、震災当時甚大な被害を受けた三陸沿岸地域を対象とした研究は幅広く行われているが、被害軽微地域かつ観光地である地域を扱ったものは少ない。軽微な被害といえども、今回大洗を襲った4mの津波は、大洗にとって史上最大の津波であり、三陸沿岸部を襲った規模の津波よりも今後、発生頻度が高いことが予想される。また、市町村の地域防災政策が考慮していなかった、観光客への災害時の対応に着目することが重要である。<br> 本研究では、東日本大震災において三陸沿岸域と比較して軽微な被害を受けた大洗町の地域防災の変遷と、震災が大洗町に与えた影響を明らかにすることを目的とする。研究方法として、震災当時の避難行動とその後の変化を、行政、自主防災会、住民、商業施設および観光施設などに聞き取り調査を行い、大洗町における震災前の防災対策をまとめた上で、震災当日の被害状況に着目する。その上で、震災前後の防災政策の変化を分析し、行政や消防団等各社会組織の災害への認識の変化を明らかにする。行政に関しては、大洗町役場、大洗消防本部、消防団に聞き取り調査を行った。自主防災会、大洗町在住の住民に対しても、地区ごとに被害や避難行動について聞き取り調査を行った。震災当時大洗町に滞在していた確率が比較的高い個人経営店舗主や観光施設の方への聞き取りも多く行った。各地区において聞き取り調査をもとに、震災当日における住民の避難行動や各避難所の避難対応をまとめ、大洗町における津波からの避難のあり方を明らかにするとともに、震災当日の住民の行動と、災害に対する認識の変化を分析し、震災前後で津波災害に対しての意識の変化がどのようなものであったかを明らかにする。<br> 大洗町の行政においては、東海村の事故によって整備された、全戸配布の防災無線が津波の襲来を住民へ周知することに重要な役割を担った。自主防災会は震災当日に機能しておらず、住民の自主的な避難に依存した。また、住民の意識において、大きな被害を受けた住民の意識の向上が見られた。商業施設と観光施設では、避難誘導等を行う事例は少なかった。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2015a (0), 100155-, 2015
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205694625536
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- NII論文ID
- 130005490278
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可