メコン河流域の降水特性の復元

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  • Data rescue of rainfall data in the Mekong River basin

抄録

IPCC第5次評価報告書WG-Iにおいて「1950年以前に関して,データ数が不十分なため全球陸域平均の降水変化の信頼性は低い」とされている.20世紀前半のメコン河流域での地点降水量データは,現在利用可能な全球降水量グリッドデータのいずれにおいてもごくわずかしか使用されていない.メコン河流域における降水量の気候変動をより良く知るためには紙媒体として残っている歴史的な気象観測資料をデジタル化する作業が必要である.そこで気象庁ならびにフランス気象局に保存されていた気象年報等を画像化した資料を用いて,メコン川流域の29地点の長期間の降水特性値をデジタル化した.<br>Phnom-Penhの年降水量は,最近20年では10年程度のゆっくりとした変動が卓越するが,1920年から1940年頃には2年秋季が卓越していた.特筆すべきは1916年・1917年の年降水量が観測期間中の上位2位を占めることである.年降水量が最高値であった1916年は,年降水日数が111日と比較的少ないが,日降水量が30 mm (50 mm)を越えた日数が67 (12) 日多く,強い雨が卓越する状態であった. 年最大日降水量は1910年代後半から1920年代前半に100 mm を越える年があったのに対し,1920年代後半から1940年代は100 mm を越えた年はなかった.1950年代から1960年代は年降水日数は相対的に多い年が多く,日降水量が50 mmを越える日数は少なかった.だが年最大日降水量が120 mmを越える年も存在した.残念ながら戦乱によりデータが存在しない期間があるが,雨の降り方が年代によって変化していることが示唆された.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205694816000
  • NII論文ID
    130005489822
  • DOI
    10.14866/ajg.2015s.0_100132
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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