通常の潮汐・波浪条件下で進行する砂嘴形成プロセス
書誌事項
- タイトル別名
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- Processes of barrier spit formation under normal wave and tidal condition after the 2004 Indian ocean tsunami, Pakarang Cape in thailand
- ―タイ南西部パカラン岬における2004年インド洋大津波後の事例―
説明
Ⅰ. はじめに <br> 発表者らは,2004年インド洋大津波時に激しい地形変化が生じたタイ南西部のパカラン岬において,津波後に新たに形成された砂嘴のモニタリング調査を実施し,その成果の一部を公表してきた(小岩ほか,2016;Koiwa et al., 投稿中).本発表では.パカラン岬における砂嘴の形成過程について,波浪,潮汐との関係から考察した結果を報告する. <br> Ⅱ. 調査地域および使用した気象データ <br> インド洋津波時にパカラン岬では先端が長さ200m程度侵食された.岬周辺では,干潮時には海面上に露出する,幅数百mのベンチ状の地形(リーフベンチとする)が分布している.津波後にはリーフベンチ上に砂嘴が形成されているが,この砂嘴は,サンゴ礫を主体とし,津波で侵食された土砂量の約2倍以上の堆積となっていることから,津波時にサンゴ礁の破壊による相当量の土砂が生産されたものと推定される. 発表者らは,2006年以降これまで行ったhandy GPS,レーザ距離計,高精度GPSによるkinematic測量により得たデータをGIS上で重ね合わせることにより、津波襲来時以降の地形変化を明らかにした.これらと,Thai Meteorological Departmentが公表している,プーケット空港における2015年~2016年における風向別の頻度および風速,2006年~2016年の月平均風速,月平均最大風速,最大風速が30 km/h以上観測された月別の日数から,地形形成プロセスを検討した. <br> Ⅲ. 砂嘴の形成と気象,波浪条件との関係 <br> パカラン岬における砂嘴の形成は,津波後,数ヶ月で岬の沖合にバリア島が形成され,それをアンカーとして岬の先端と連結して砂嘴となり,さらに北部へ延長,その後,北端部からのhookが南側へ伸びるというものとなっている.パカラン岬周辺では,リーフベンチの西側では外洋(西側)からの波浪がみられるが,ベンチ北部では,これらの波が方向をかえて南向きとなり岬の北東に到達している.上記の地形形成はこの波の影響を素直に受けて進行していると思われる.調査地域では津波後,台風や強い低気圧の襲来はないことから,新たに形成された砂嘴形成は通常の波浪条件で行われていると判断される.調査地域において,最も卓越する風向は,冬季モンスーン時の東北東となっているが,強風は夏季モンスーン時の西南西の風が多くなっている.また,最大風速30 km/h以上の強風が観測されるのは,ほとんどが夏季のモンスーン時であることから,主要な地形形成は,この時期に進行する可能性が高いと思われる.砂嘴上は数列のリッジが発達するが,その高度は約2.5~3.0 m a.s.l. となっている.大潮時の髙潮位は約1.3 m a.s.l.,夏季モンスーン時の波高は0.3~1.5 m (Choowong et al., 2009)であることをふまえると,調査地域の砂嘴は,夏季モンスーン時の大潮の際に生じた波浪によって形成が進行している可能性が高いと判断できる.
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2016a (0), 100181-, 2016
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205695143808
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- NII論文ID
- 130005279922
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可