グローバル化におけるアメリカ農業の労働力について

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タイトル別名
  • Agricultural labor of America in Globalization

抄録

農業のグローバル市場下において輸出大国であるアメリカは、穀物を中心として世界各国の食糧を支えているといえる。また、食肉牛中心の食生活であるアメリカは、畜産業関連に応じて成長した飼料用作物生産の生産額も大きい。したがって、アメリカ農業は全体を見ると、主な農産物は穀物や飼料用作物、および畜産物である。 ところが、大きな土地で気候条件も幅広いアメリカでは、土地に適した作物を生産することから、農場形態は多様であり、農業地帯ごとにその傾向も異なっている。それゆえ、アメリカの農業を詳細に見ていくと、機械化にもとづく大規模化、輸出産業、土地・労働粗放的経営などと指摘されている特徴以外にも、機械化が困難で比較的小規模な農業も存在するし、また大規模化しつつも機械化を通じてではなく労働集約的な農業も存在する。例えば、アメリカの果物や野菜の園芸作物の生産は、その育苗から生育・管理、出荷などで周密な注意を要する労働が多く、機械化による必要労働量の削減には限りがあるため、他の農業部門と比較して機械化による規模拡大が遅れている部門である。このことは、生産過程における労働力率を上げることになり、労働力が重要な生産要素となる労働集約的農業といえる。グローバル労働市場下において、大規模化や機械化による規模の経済が成り立たない労働集約的農業の部門は、生産費に占める労働コストが大きくなるため、国際競争力が低くなる。そしてそれは、競争力の高い低コスト輸入農産物との競合を余儀なくされることを意味する。  そこで本研究では、グローバル経済のなかで自由に農産物貿易が行われている昨今、アメリカの労働集約的農業において、その生産に大きな影響を与えるだろう労働力について考察することを目的とし、検討を行った。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205695190144
  • NII論文ID
    130007017788
  • DOI
    10.14866/ajg.2011s.0.196.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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