バルイベントの実施範囲と中心市街地活性化基本計画の区域設定との整合性

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タイトル別名
  • The consistency with the area where an event is put into effect and the district set in the central city activation master plan
  • 近畿2府4県を事例として
  • a case study of Kinki area

抄録

Ⅰ はじめに<br><br>中心市街地の活性化は喫緊の課題となっており,その活性化策として,近年,バルイベントが注目されている(長坂他 2012).バルイベントは,2004年の『函館西部地区バル街』での開催に始まり,その後,全国各地での開催が飛躍的に増加してきている.松下(2013)は,あえて単純化すれば,バル街とは,西部地区とバル街マップ(ガイドマップ),ピンチョー(つまみ)の3つで構成されている飲み歩きイベントであるとしている.バルイベントの先行研究は,商学や建築学の視点からわずかしかみられない.<br><br>これまで発表者は,①バルイベントを開催する上で必要不可欠な要素としてのガイドマップの変遷を『伊丹まちなかバル』で把握し,参加者にとって使いやすく,かつ参加店舗の提供内容がわかりやすいガイドマップへと改善が続けられていること(石原2016a),②伊丹市主催『近畿バルサミット』への参加団体を把握し,近畿2府4県でバルイベントが急速に波及しており,中心市街地活性化基本計画策定市が多いこと(石原2016b),③ガイドマップは地域特性に応じ多様性があるものの,伊丹市の仕様が他の地域に模倣されている場合が多いこと(石原2016c),④滋賀県を対象地域とし,バルイベントの継続性,実施主体,運営方法,ガイドマップの仕様等に地域的差異があること(石原2016d)を明らかにしてきた.<br><br>そこで,本発表では,近畿2府4県の中心市街地活性化基本計画策定市に着目し,その中心市街地区域と,バルイベントの実施範囲を比較し,整合性を明らかにする.<br><br><br>Ⅱ 研究方法<br><br>本発表では,近畿2府4県で中心市街地活性化基本計画の認定を受けている18市(滋賀県は大津市,草津市,守山市,長浜市の4市,京都府は福知山市の1市,大阪府は堺市,高槻市の2市,兵庫県は神戸市,尼崎市,伊丹市,川西市,宝塚市,明石市,姫路市,丹波市の8市,奈良県は奈良市の1市,和歌山県は和歌山市,田辺市の2市)を対象とする.これら18市で開催されたバルイベントにおいて作成されたガイドマップを入手し,バルイベントの実施範囲を把握し,中心市街地活性化基本計画において設定された中心市街地区域との比較を行うことで,両者の範囲設定の整合性を確認する.<br><br>Ⅲ 結果および考察<br><br>中心市街地活性化基本計画において設定された中心市街地区域をみると,最小面積は明石市の60ha,最大面積は奈良市の289haとなっている.100ha未満は明石市の他,尼崎市,伊丹市,川西市,丹波市の5市で,全て兵庫県である.100ha以上150ha未満は福知山市,神戸市,田辺市の3市となっている.150ha以上200ha未満は大津市,草津市,守山市,長浜市,堺市,宝塚市,和歌山市の7市となっている.200ha以上は高槻市,姫路市,奈良市の3市である.<br><br>これらの中心市街地区域とガイドマップに記載されているバルイベントの実施範囲を比較すると,明石市,尼崎市,伊丹市,川西市,田辺市,姫路市ではほぼ同一であった.宝塚市と和歌山市では中心市街地区域のみならず,その区域を越えてバルイベントが実施されていた.これら以外の市では中心市街地区域よりも狭い範囲でバルイベントが実施されていた.<br><br>今後,中心市街地区域のコンパクトさを回遊型のバルイベントの視点から評価する可能性を検討したい.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205695192064
  • NII論文ID
    130005635850
  • DOI
    10.14866/ajg.2017s.0_100316
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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