京都市下京区における町家を再利用したゲストハウスの増加

書誌事項

タイトル別名
  • Increasing guesthouses reused traditional house in Shimogyo ward,Kyoto city

説明

1.京都市における町家の再利用<br> 1990年代より京都市では町家を改修した場所で、新しい事業が行われている。町家再生店舗の数は1,500件以上に及び(2009年)、1990年代には物販系が多かったが、2002年以降では飲食系が71%になっている。こういった町家再生において、2014年より変化が生じている。町家のゲストハウスとしての利用である。京都市では宿泊施設(旅館、ホテル、簡易宿所)が2014年以降、大幅に増加している。京都市内の宿泊施設は、2016年10月31日段階で1,546施設あるが、2014年から2016年までの2年10か月で新設された宿泊施設数は773と全体の50%を占める。そのうち、ゲストハウスなどの簡易宿所は727と全体の94%を占める。東山区の観光地周辺と交通の利便性の高い下京区の京都駅の北側に多く分布している。<br> 2016年9月末段階での簡易宿所数997の内、町家を改修したものは261と2012年の6件から急増している。急増している背景には、京都市の空き家活用対策と宿泊施設拡充施策によるもの、不動産会社の積極的な介入、海外からの投資によるものがある。ゲストハウスの急激な増加により、近隣住民からは騒音や防災の不安などの苦情が、京都市に寄せられている。また、近隣の住民と十分な合意が得られない状態で町家のゲストハウスへの改修が行われ、住民とのトラブルにもなっている。<br><br>2.町家再生宿泊施設<br> 2016年10月に京都市は「京都市宿泊施設拡充・誘致方針」を打ち出し、2020年までに6,000室の宿泊施設を新設するために京都駅周辺の規制緩和、住居専用地域、工業地域及び市街化調整区域においての特例措置を検討している。また、京都市内に114,290ある空き家対策と町家の保全の観点から町家の簡易宿泊施設への活用を推進している中、今後、住宅地域における町家を改修したゲストハウスの増加が見込まれる。町家の活用としての町家再生店舗は、個人のサービス産業分野への起業により職住共存地域の職の再生をもたらし、個性的な店舗が連なり、女性客を集客するという都心再生をもたらした。2016年現在、急激に増加している町家再生のゲストハウスが、地域に何をもたらすのか、今後どのようにあるべきなのかについて、京都市下京区における現地調査をもとに報告を行う。<br> <br>【引用文献】<br>1) 宗田好史(2009)『町家再生の論理』学芸出版社<br>2) 宗田好史「転換期の京町家再生」,青山吉隆編(2002)『職住共存の都心再生』,学芸出版社

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205695200000
  • NII論文ID
    130005635836
  • DOI
    10.14866/ajg.2017s.0_100303
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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