ボリビア・アンデス山岳域における乾期の気温低下と気圧場の関係
書誌事項
- タイトル別名
-
- Decreasing of dry season temperature and its relation to air pressure field in Bolivia,the Andes
説明
1 はじめに<BR><br> 近年におけるボリビア・アンデス山岳域の気候変化を明らかにするために,エルアルト(ラパス)の気温及び露点温度の分析を行った。<br> 使用データは,GSODのエルアルト(ラパス)における日データ及びNCEP/NCAR再解析の月平均等圧面高度データ(500hPa面),月平均絶対湿度データ(500hPa面)である。解析期間はGSODのデータにあわせ1976年〜2013年の38年間としている。<BR><br><br>2 エルアルトにおける気候変化<BR><br> エルアルトの年平均気温には顕著な上昇傾向はないが,雨期と乾期の月平均気温とでは傾向が異なり,雨期は上昇傾向,乾期は低下傾向にある。雨期には月平均最高気温,月平均最低気温ともに上昇している。一方で,乾期には月平均最高気温の上昇,月平均最低気温の低下が生じており,日較差の拡大にもつながっている。また,月平均露点温度の傾向も雨期と乾期で異なり,雨期に上昇し,乾期に低下している。露点温度の低下から乾期において乾燥化が進んでいるといえる。<br> 乾期における月平均最高気温は経年的に緩やかな上昇傾向にある一方,月平均最低気温は1990年代に入り低下傾向となっている。さらに,露点温度が低下していることに加えて,この地域は亜熱帯高気圧の影響を受ける。したがって,亜熱帯高気圧との関連性を確認するため,500hPa面の等圧面高度データと絶対湿度データを用い,空間的な分布から乾期における気候変化の要因を考察した。<BR><br><br>3 500hPa面の亜熱帯高気圧と水蒸気量<BR><br> 1976年〜1996年(前期)と日較差が拡大し始めた1997年〜2013年(後期)の2つの期間で客観解析データの月平均値を用いて比較を行った。<br> 乾期における等圧面高度の差(後期 − 前期)には,南大西洋中緯度を中心として北西方向に広がる高気圧偏差が広がっており,この西部の高気圧偏差域がボリビアを覆っている(図1)。ボリビアは乾期において亜熱帯高気圧の西縁部に位置していることから,亜熱帯高気圧が強まっている可能性がある。また,絶対湿度については,アマゾンを中心とした低下領域の一部にボリビア北東部が含まれていることが確認される。<br> これらの結果は,対象地域における亜熱帯高気圧の強まりとともに乾燥化が生じていることを示唆するものであるが,事例を含めた検証を行う必要がある。
収録刊行物
-
- 日本地理学会発表要旨集
-
日本地理学会発表要旨集 2015s (0), 100283-, 2015
公益社団法人 日本地理学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205695474432
-
- NII論文ID
- 130005490060
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可