インド北東部・アッサム州における降水特性

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Rainfall Characteristics of Assam, India
  • 地点観測データとグリッド日降水量データ(IMD4)の比較から
  • Comparison of the rain-gauge observation data and the gridded data (IMD4)

抄録

インド気象局が作成した最新の長期(1901-2010)データセットであるIMD4(0.25度格子)は,州政府管理の観測地点を含む6955地点の雨量観測点のデータが用いられている(D.S.Pai et al. 2014).このデータからアッサム州を含む北東部州は,インド南西部と並んで年平均日降雨強度が6-8 mm day-1を超す多雨地域と評価できる.一方グリッド化にあたっては,同一グリッド内の値が平滑化されるため,局地的大雨などスケールの小さな現象が適切に表現されないことが予想される。このためモンスーン季に頻発し,土砂災害や洪水などを引き起こす大雨現象の特性を捉えるには十分な解像度が得られない可能性がある.そこで,アッサム州内に2006年より設置した15地点の雨量計観測データから降水特性を明らかにし,グリッドデータとの比較を行う.<br> 2006年よりインド・アッサム州内に設置している15地点の転倒ます型雨量計のデータを用いた.対象期間は2007年1月〜2011年12月とした.比較のため,インド気象局が作成した1901-2010年の日降水量グリッドデータ(IMD4)(D.S.Pai et al. 2014)を利用した.<br> 各地点における月降水量の推移を確認すると,特に州北部のブラマプトラ川北岸(ヒマラヤ山脈南麓)の2地点(Moridhal, Sankardev College)が州内で最もモンスーン季(JJAS)降水量が多い傾向にある.6〜9月に600〜800 mm month-1の降水量が観測され,モンスーン季降水量は1500〜2500 mmほどであった.IMD4による1901-2010年の気候値と観測(2007-2011年の平均値)値についてそれぞれ観測点を含むグリッドで比較すると,Moridhalで2049.7 mm(観測値)と1695.52 mm(IMD4),Sankardev Collegeで2003.9 mm(観測値)と 1680.25 mm(IMD4)とどちらも300 mm前後IMD4のほうが少なく,グリッド化により地域性が平滑化された影響が表れていた.<br> 対象期間の全時間雨量を集計し,雨量階級別に降雨頻度を求めると,降雨頻度(降雨時間)は総じて州東部で多く(長く)なる傾向がみられた.一方で全降雨中に占める降雨強度の大きな降雨(20 mm/h以上)の割合は,州西部のKokrajharで最も大きく,全降雨時間の7.8 %となった.ほかに西部ブラマプトラ川沿岸のGoalparaおよび北岸の2地点で3%を超えた.この結果を踏まえ,当日はブラマプトラ川の北岸の地点を中心に,50 mm/h以上の短時間大雨のケースに着目し,プレモンスーン,モンスーン,モンスーン後期(サイクロンなど)に分けて事例解析を行い,その要因を整理した結果を発表する.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205695606144
  • NII論文ID
    130005635700
  • DOI
    10.14866/ajg.2017s.0_100248
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ