高校地理の可能性

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タイトル別名
  • Possibility of high school geography

抄録

①はじめに 学校現場にICTの普及がはじまり数年が経過するが、学校校種別・設置者別の予算規模の制約が有り、全国的には格差が横たわる。一方、タブレット携帯端末とスマートホンの国内普及はこうした格差の是正策には、有効である。幼・こども園・小・中・高・大の年齢層ごとに、使用にあたってのモラル遵守観、各種端末機器別使用マニュアルと講習などが円滑になされることは大前提となる。現勤務校では、2005年にはPCとプロジェクター、スピーカを毎時間生徒の机のならぶ通路スペースに設置・撤収し、授業実施教室ごとに持ち込みながら実施した。黒板貼り付けの1/3スペースの模造紙上にスクリーン投影。自己流のICTでのぞんだ。黒板の両サイド1/3は板書スペースとした。プロジェクター輝度の性能上、教室環境の季節ごとの変化に生徒に迷惑をかけたがチャレンジした。教科書、資料集、地図帳、授業ごとに作製の自己流プリントで、黒板スクリーンの各種映像画面と両サイドのスペースへの略図、板書文字の配列が毎時間の勝負と生徒とともに学習環境を徐々に整えた。 ②高校での学習 授業設計の基本は1970年代前半からの社会科中・高現場からふりだすことができた時期。異年齢層を対象に試行錯誤。13歳の中学校1年次生と18歳の高校3年次生への教材づくりにある。略地図への添削作業がメインの授業スタイルにいきついた。1970年代頃からインテリア風の風船形式の地球儀の登場は幸いした。いかに球面を平面に投影し、リアルな地球像に迫るか、各種地図投影法を活かす略地図の描画を授業課題とした教材作りで、毎時間のぞんだ。メンタルマップ=頭の中の地図を活かす略地図描画実践。時代的にはグローバル化との結びつきが新たな授業課題であった。 「世界史AB」「日本史AB」「地理AB」、「現代社会」「政治経済」「倫理社会」など勤務校ごとそのつど担当しが、略地図と、世界の動きを毎時間教科科目ごとの進度に応じてアレンジしのぞんだ。 ③PC普及とPCアプリケーションの登場と高校での学習 ①earthBrowser (Lunar Software)、②Google Earth(Google Inc.)、③Marble(Marble Virtual Globe)、いずれもMac.版、Windows版対応アプリケーション。地球儀ソフトの出現と利用は、教室授業にPCを持ち込み、ICTの普及まえから理科・社会、地歴公民科各教科目の授業設計に大きな改善策を可能にしていった。インターネットの普及にはブロードバンドシステムと端末接続が全国各地に実現化するまでには様々に各種課題もあり続けた。 教室PC持ち込みへの経費捻出。PCおよび使用アプリケーションソフト操作スキルの習熟度。使用モラル共通理解。授業に取り込み導入していくうえでの児童生徒への対処。学習面での試行錯誤スキル力。育成観のあり方。様々なマニュアル化が議論された。今もなおある課題は、各授業現場で、学習者である児童生徒の実情に応じた状況があり、利用の仕方は今も日本国内では学校間格差がみいだされる。結局は、授業者と児童生徒との関係作りを各現場に応じて絶え間なく模索し、つくりあげるだけといえる。 ④PCアプリケーションを使用した勤務校での授業設計と課題 2015年度報告者は、現勤務校で「世界史A」、「地理B」、「現代社会」を担当。「世界史A」古代編を担当しPC地球儀ソフトと授業プリントに時代変遷史ごとに場所の確認を実施。現代との比較を毎時間実施する学習を展開した。授業作業では、略地図に地点位置をマークし、歴史的事象のメモ書きなども列記してゆく。毎時間提出義務を課し添削指導を実施した。授業中の質疑応答では双方向のやり取りを展開することを心がけ、時代ごとに、課題や展望を模索した。人類の登場、農耕の始まり、4大文明辺りまでを大観学習をし、古代から大航海時代あたりまでの概要を学習。「現代社会」は前半課題学習を設定。環境問題などの課題的学習が設定されるが、授業プリントに略地図を毎時間入れ、地点位置のマークに加え、発生事象などを列記の上、課題や展望を模索させた。世界史同様毎時間、課題評価添削作業を実施した。「地理B」は1H/3H分を担当し自然分野/農牧業/資源エネルギーの基礎編をPC地球儀ソフト、対応授業プリント、地図帳でグローカルスケール的学習を実施した。学習成果をベースに各自の課題を設定したレポートを夏の課題とし、添削指導、校誌への秀作掲載などを実施した。地理学習をメインにすえる社会科・地歴公民科授業設計例の最終達成目標は、人類史の理解と共生への展望であろう。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205695755136
  • NII論文ID
    130007018012
  • DOI
    10.14866/ajg.2016s.0_100267
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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