詳細な時空間スケールを考慮した地下水涵養プロセスの推定

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of spatially and temporarily detailed groundwater recharge process
  • 降水と地下水位の関係に着目して
  • by focusing on the relationship between precipitation and groundwater level

抄録

本研究の目的は,降雨と地下水との関係に着目して武蔵野台地における詳細な地下水位の変動特性や地下水涵養プロセスの地域的な違いを明らかにすることである。近年,気候変動による水循環の詳細な解明や,将来的な水資源量の定量的把握のために,地域的な地下水涵養量の差異や一回の降水量の違いなどを考慮した非定常的な解析が重要であるとされている。またそのような解析において,気候・地形・地質・地表面状態などの条件を考慮した地域的な地下水涵養プロセスの差異を考える必要があるとされている。地下水流動や地下水位の変動傾向を考察した研究の多くは,毎日の地下水位のデータを利用した解析であることが多く,1時間スケールで地下水位の変動傾向を考察した研究は少ない。したがって,武蔵野台地上の3ヶ所の浅井戸において1時間毎の地下水位を観測し,解析を行った。<BR><br> 台地上の3地点の浅井戸(谷保,国分寺,青梅)において独自に水位計を設置し,1時間毎の地下水位の変動を観測した。観測には,応用地質社製の圧力式水位計「S&DL mini MODEL4800」を用いた。1時間毎の降水量データにフィルター分離法を施し,地下水位の急激な変化成分を抽出した。抽出したデータから,降水が始まってから地下水位の急激な変化が起こるまでの時間,つまり急速な地下水涵養にかかる時間を計算し,地域毎,降雨イベント毎に比較した。また,重回帰分析から急速な地下水涵養にかかる時間に影響を与える要素について検討した。<BR><br> 圧力式水位計を用いて観測した1時間ごとの地下水位から,降水が始まってから急速な地下水涵養にかかる時間を捉えることができ,地域毎,降雨イベント毎に比較することができた。また,降水があっても地下水位の急速な変化がみられないイベントもあった。降水が始まってから急速な水位の変化が始まるまでの時間は,観測地点,降水イベント毎に大きく異なり,5~44時間の幅があった。重回帰分析の結果から,降水開始から急激な地下水涵養にかかる時間は,影響力が大きいとされたものから順に,一雨の雨量,ローム層の厚さ,地下水面深度であることが推測された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205695764736
  • NII論文ID
    130007018021
  • DOI
    10.14866/ajg.2016s.0_100255
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ