フィリピン・ラグナ州におけるスイギュウの乳のチーズ加工
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- 辻 貴志
- 佐賀大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Processing Cheese from Water Buffalo Milk in Laguna, Philippines
抄録
1. はじめに <br> 本発表は、フィリピン・ラグナ州で行われている、スイギュウの伝統的チーズ加工と流通について報告する。ラグナ州ではスペインの統治が始まって以来、伝統的なスイギュウのチーズ加工が行われてきた。加工されるチーズはフレッシュチーズ(kesong puti)であり、酢やレンネットが発酵酵素として用いられ、塩味が効いている(塩には殺菌作用や脱水作用もある)。加工者はチーズを作ると、家のそばの売店で売るか、行商に出て売る。 本発表では特に、どこでスイギュウのチーズが販売され、行商人がどこにチーズを行商するのかという地理学的情報を提示し、チーズ加工の実態と併せて報告する。 <br><br> 2. 調査地と調査の概要 <br> 調査は、ルソン島のラグナ湖周辺のラグナ州の州都サンタクルスのバゴンバヤン集落で行った。ラグナ州は、国際イネ研究所(IRRI)やフィリピン大学ロスバニョス校で有名な土地柄である。主な生業はラグナ湖の内水面養殖やパイナップルの栽培である。調査は、スイギュウの乳をチーズに加工し、行商を行う男性のチーズ加工技術と行商の様子について参与観察および定量的調査を実施した。2016年と2017年に行ったフィールドワークの結果をもとに報告を行う。<br> <br> 3. 結果 <br> スイギュウの乳のチーズは、乳は別の地域から運ばれ、それを加工していることが明らかとなった。チーズ加工とスイギュウの搾乳は分離している。チーズ加工は各家庭の秘儀とされる。チーズは加熱式方法で、ヤシの酢を擬乳酵素として作成する。チーズは道路沿いの売店で売る人もいるが、行商に出る人もいる。道路沿いでチーズを売る人は観光客などを相手にしていると思われる。行商に出る人は売店を構える余裕がないと考えられる。チーズは地元の市場に並ばないが、一般の人びとの購買力が弱いためとされる。チーズの行商人はより強い購買力のある地域にチーズを運ぶ戦略をとっている。行商の範囲は、ラグナ州および隣接する州、そしてマニラにも行商に出ることがある。<br><br>4. おわりに-まとめと考察 <br> ラグナ州では、伝統的なスイギュウのフレッシュチーズが加工され、行商されていることが明らかとなった。チーズは、行商人によって広く販売されている。 伝統的チーズは今日、国内4地点のみで加工されているが、ラグナ州でこの文化が残ってきたのは、スイギュウの乳生産者と加工者、そして行商人のネットワークが密に構築されてきたからであると考えられる。他の伝統的チーズ加工地帯でも。同じことが言えるか、今後の調査で比較検証していく計画である。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2017a (0), 100003-, 2017
公益社団法人 日本地理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205696321408
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- NII論文ID
- 130006182601
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可