企業の採用戦略と店舗展開の関係
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- 秦 洋二
- 流通科学大学
書誌事項
- タイトル別名
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- The relationship between recruitment strategy and store development
- ハンドメイドコスメ店を事例に
抄録
企業がどのような人材を採用するかは,当該企業の経営戦略と密接な関わりを持つ。しかし管見の限り,これまで地理学的研究においては,こうした経営学的視点が十分議論されない場合も少なくなかったと思われる。そこで本研究では,ハンドメイドコスメ店を事例として小売企業の採用戦略が当該企業の出店行動とどのように関わっているのかを考察することを研究目的とする。事例とするハンドメイドコスメ店(A社)はイギリス発祥であり,1990年代の後半に日本にも進出した。主として自社製造の固形石けんを販売している企業である。本社は東京であり,この不況下にありながら全店で黒字を確保するなど好調な経営状態を維持している。2000年代半ばにアットコスメ賞の受賞や雑誌ハナコへの掲載といったメディア露出により消費者認知を高め,成長軌道に乗っていった。A社の経営上の特徴は,フランチャイズ店舗を持たず,全ての店舗を直営店としていることにある。同社が実店舗販売,それも直営店による販売にこだわる理由は,比較的高価格の同社の商品をできるだけ値下げせずに販売しようとしているからだと考えられる。このように高品質ではあるが、比較的高価格な商品を販売するために最も効率的な地点として,A社は全国各地の大都市ターミナル駅周辺や大型ショッピングモール内を中心に出店している。人材採用面の特徴としては,正社員だけでなく契約社員やアルバイトも含めて全従業員が自社採用であり,派遣社員はいないことが挙げられる。従業員に自社商品に対する十分な理解を持たせ,実店舗において消費者を惹き付ける商品紹介や接客を行わせることで,比較的高価格の商品の販売を可能としている。しかしながら,こうした従業員教育の徹底は一方で問題も孕む。同社はリニューアルを含めて年間20店舗程度の新規出店を行っているが,これらの店舗の運営に携わる従業員に,商品知識以外のいわゆる新人教育を一から施していたのでは,この出店スピードは維持できないのである。そこでA社は従業員募集において新卒を一切採らず中途採用のみに絞り,即戦力となる人材を積極的に採用しているのである。中途採用の募集は人件費の高騰にも繋がりかねないが,A社の場合はそれよりも従業員に対するトレーニング・コストの削減及び出店地域の迅速な拡大の方が,より有益であると判断してこのような施策をとっていると考えられる。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2012s (0), 100230-, 2012
公益社団法人 日本地理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205696580480
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- NII論文ID
- 130005457227
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可