地域遺産としての景観

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タイトル別名
  • Landscape as local heritage
  • 近代日本の景観概念・制度を中心に
  • Focusing on the concepts and institutional aspects of landscape in modern Japan

抄録

近年、景観が地域の遺産となる例が顕著に見られるようになっている。世界遺産のなかに「文化的景観」が位置付けられ、2005年の文化財保護法改正により日本の文化財として「文化的景観」が選定されるようになるだけでない。大垣市や姫路市のようにまちづくりの一環として市レベルで景観遺産を定める例、「ちば遺産」や「ちば文化的景観」が県民の投票によって選定される県レベルの例など、さまざまなスケールで景観が遺産化され活用されるようになっているのである。2006年には景観法も制定され、遺産化が進展する一方で、異なった基盤を持つ研究者・実務家・行政体が景観なるものに向かい合うようになり、景観概念の成立と展開に関する検討も再燃している。その際、しばしば言及されてきたのは、「景観は独逸語のLandschaftに対して、植物学者の三好博士が与へられた名称である(辻村1937)」という定説/神話であるが、その説についての再検討も繰り返されている(例えば、小野2008; 渡部2009)。本報告で取り上げるのも、定説/神話にも言及された三好学や同時代人たちの思想・実践である。近代日本において、景観という用語はどのように定義され、取り入れられたのか。景観をめぐる諸制度に注目し、選択され遺産化されることについて考察する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205696708608
  • NII論文ID
    130005473312
  • DOI
    10.14866/ajg.2013s.0_322
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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