WBGT算出のための黒球温度推定式の比較評価

書誌事項

タイトル別名
  • Comparative Evaluation of the Equations for the Black-Bulb Temperature Estimation to Calculate WBGT

説明

温熱指標の1つであるWBGT(湿球黒球温度)の輻射熱項にあたる黒球温度は、測器が特殊なため、計測が容易な気象要素から推定することが多い。堀江・藤原(2010)は、建物屋上での観測データを用いて推定式間の精度を評価した。しかし、推定式の構造やパラメータに由来する系統的な誤差を伴うことがある。本研究では、先行研究と異なる緑地(公園)環境で、既往の推定式の誤差の挙動とその要因について調べる。加えて、パラメータを再設定した場合の既往の推定式の精度検証を試みる。<br> 黒球温度の実測値を取得するために、2011年9月8日から10日に、つくば市内の北向児童公園・二宮公園・洞峰公園にて観測を行った。同時に気温、風速、全天日射量も計測した。<br> 本研究で対象とした黒球温度推定式は、高市ほか(2003)の式と登内・村山(2008)の式である。高市ほかの式と登内・村山の式をそのまま使用した場合、両式ともに推定値が概ね過大評価であったが、登内・村山の式の推定値が高市ほかの式と比べて観測値に近かった。推定値と観測値の差と全天日射量の関係において、登内・村山の式は日射量400 W m-2を境に誤差の傾向が変化することが分かった。そこで緑地での観測値に合うように、シンプレックス法を用いてパラメータを再設定したところ、パラメータ再設定後の推定結果が、再設定前の結果よりも観測値に近くなった。この時、日射量に対する推定誤差の式毎の独特の傾向は表れなかった。また、黒球温度を推定する際、日射量に対して頭打ちになる傾向が表れ、同様の傾向は観測値でも確認された。この原因を解明するために、黒球温度計に関する熱収支式を用いて検討した。熱収支式は大橋ほか(2010)を参考に、黒球温度計の単位面積当たりに変換した式を用いた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205696745728
  • NII論文ID
    130005457077
  • DOI
    10.14866/ajg.2012s.0_100171
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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