消費空間としてのフリーマーケットにおける空間マネジメント

書誌事項

タイトル別名
  • Constructing Consumer Space
  • 東京都を事例として
  • A Case of Flea Market in Tokyo

説明

本研究では,「消費」という現象の地理的な側面を実証的に研究するための枠組みの提示を試みた.従来,商業地理学を中心とした地理学研究における消費活動は購買活動に限定されてきたが,近年では海外における消費の地理学を中心とした新しい研究の潮流の中で購買に限定されない様々な消費活動が注目され始めている.本研究では消費活動と,それが卓越する消費空間とを一体的に扱い,消費活動および消費空間が形成されていくプロセスを空間マネジメントとして定義することで,消費空間に関する地理学研究のプロトタイプを提示した.本研究では研究対象として,フリーマーケットを取り上げた.フリーマーケットは1980年前後にアメリカからもたらされ,公園などオープンスペースにおいて商売を生業としないアマチュア出店者が家庭不用品をリサイクルするための市として定着していった(図参照).しかし近年では,商売を生業とするプロ出店者や家庭不用品以外の商品を仕入れて販売するセミプロ出店者が増加している.また,フリーマーケット主催団体の性格も変化し,一部の主催団体によって大部分のフリーマーケットが主催されるようになりつつある.こうした変化の結果,都立公園など一部の会場ではフリーマーケットが規制され始めた.本研究では,このような近年のフリーマーケットを実証的に研究するにあたって,東京都内のフリーマーケットの主催団体および都内5ヶ所で開催されているフリーマーケットの出店者に対してアンケート調査およびヒアリング調査を実施し,各会場における出店者の属性および主催目的から,フリーマーケットをリサイクル型,商業型,規制型,イベント型の4つに分類し,各類型における空間マネジメントに着目した. 調査結果から類型化されたフリーマーケットは,その発祥からリサイクル型 → 商業型 → 規制型へと変化していくことに着目した. フリーマーケットにおいては,リサイクル型から商業型へ変質するにつれて集客効果や売上,商売の楽しみといった実利を目的とするイベント的な消費活動が重視される傾向にあることが明らかになった.こうした変質は,フリーマーケットのクリーンな社会的イメージに覆い隠されて外部からは実態が見えにくくなっているという構造の中で生じたものであるが,近年ではこうしたグレーゾーンが明るみに出始めており,商業型のフリーマーケットが再びリサイクルを目的とするフリーマーケットへと矯正され,規制型のフリーマーケットとして出現し始めている.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205696749312
  • NII論文ID
    130005473759
  • DOI
    10.14866/ajg.2014s.0_100217
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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