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Rebuilding projects of condominium complexes provided by the Japan Housing Corporation in the suburbs of Tokyo Metropolitan Area
Bibliographic Information
- Other Title
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- 東京大都市圏郊外における公団分譲団地建替え事業
Description
1.研究背景と目的<BR>わが国の分譲マンションストック戸数は年々増加し,老朽化した物件への対応が求められている.しかし一つの建物に多数の権利者が存在することや,建物の老朽化と居住者の高齢化の「二つの老い」が進んでいると考えられることから,建替えによる更新の難度は高い.これまでの建替え事業の多くは余剰床を創出して再建マンションを高容積化し,その売却益を事業資金に充てることで居住者の負担を抑制していたが,そのためには余剰床を売却できる見込みがある立地であることが前提となる.大都市圏では近年,住宅取得の都心回帰傾向がみられており,かつての住宅市場拡大期に郊外や鉄道駅から離れた場所に建設された分譲マンションは,従来の手法を用いての建替えは今後一層困難になると思われる.本研究では,これまでの大都市圏における分譲マンション建替え事業の事例からその成功要因を精査し,建替えを控える物件,特に「二つの老い」が進行している物件の居住者の対応可能性を探る.<BR>2.研究方法<BR> わが国の大都市圏における住宅供給において重要な役割を果たした主体の一つに日本住宅公団(現:UR都市機構)がある.公団により供給された分譲団地は昭和40年代から大規模化・郊外化する傾向を見せたが,これらの物件は現在建替えの「適齢期」を迎えつつあると考えられる.国勢調査小地域統計調査区・基本単位区別集計結果の年齢別人口データを用いて,昭和40年代に造成された公団分譲団地において実際に「二つの老い」が進行していることを確認した.その中で,郊外の駅からバスで15~20分を要する立地でありながら,ほとんど戸数を増やすことなく建替えることに成功した団地に着目し,耐え変え事業に関する文献の調査,当該団地建替え事業の担当デベロッパーおよび建替え組合理事への聞き取り調査に加え,建替えに参加した住民へのアンケート調査を行った.<BR>3.調査地域の概要と調査結果<BR> 東京都町田市の町田山崎団地は昭和43(1968)年に公団が供給し,1街区(300戸)部分が分譲された.1街区は2009年に305戸のマンションに建替えられ,約60億円の事業費は保留地床の売却,居住者の自己負担,補助金等により賄われた.立地面での条件の悪さからデベロッパーが建替え事業への参加を敬遠したため,担当コンサルタントは行政から補助金を引き出すなど居住者の負担の抑制に努めた.戻り入居の際に無償で得られる床面積の割合は平均62.4%,居住者の平均自己負担額は約900万円/戸であったことが文献により明らかになっている.アンケート調査では,住み替えるより安く済むと判断したこと,新築の住居を入手できること,住み慣れた団地内での居住を継続できることが建替えに参加した理由として多く挙げられた.また回答者の多くは住居にゆとりを求めたこと,家族・親族が同居する可能性を理由として,自己負担金を拠出した上で従前よりも広い住戸を得ていた.住戸面積を従前の1.6倍程度まで拡大させた場合,1,000~2,000万円台の自己負担金が支払われていたが,これは近隣で新築マンションを取得するよりも安い金額である.<BR>4.おわりに<BR>「二つの老い」の文脈は,高齢者は金銭的弱者であることを前提とするきらいがあるが,家計調査では無職高齢者世帯でも2,000万円以上の貯蓄があることが分かっている行政から補助金を得るなどの工夫により,居住者が拠出しなければならない自己負担をその経済力の範囲内に収めることができるのであれば,立地面で不利な分譲マンションでも建替えられる可能性がある.ただし建替え問題が今後に顕在化すると考えられる昭和50・60年代以降に建設された分譲マンションは,地価高騰期に供給され郊外化がさらに顕著であるため,その建替えにいかに対応するかは社会的にも今後の研究の上でも課題となる.
Journal
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- Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers
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Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2013s (0), 54-, 2013
The Association of Japanese Geographers
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205696785280
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- NII Article ID
- 130005473385
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed