自動車環境管理計画書からみたCO2排出量について

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書誌事項

タイトル別名
  • Amount of CO2 exhaust that looked from Automotive environment management plans
  • 東京都を事例として
  • A case study of Tokyo

抄録

Ⅰ はじめに地球温暖化防止対策は,世界各国において重要な課題となっている.日本では2010年4月から東京都が環境確保条例に基づき大規模事業所を対象としたCO2排出量の総量削減義務と排出権取引制度を導入した.また東京都は総量削減義務化だけではなく,環境確保条例に基づく建築物環境計画書制度を2002年度から,地域におけるエネルギー有効利用計画制度を2010年度から導入する等,民生部門や産業部門に対する地球温暖化防止対策を行っている.東京都は地球温暖化を防止する一環の中で運輸部門への対策も進めており,自動車管理計画書制度(以下,計画書制度という)による対策を講じてきている,この計画書制度は,30台以上の自動車を保有する事業者(以下,特定事業者という)に対して自主的なCO2排出量の削減を求めるものであり,2012年4月に初めて事業者からの報告内容が公表された.そこで本稿では,東京都を研究対象地域として,特定事業者の所在地の地域的特性を明らかにするとともに特定事業者が保有する自動車からのCO2排出量を把握することを目的とする.Ⅱ 研究方法本稿で用いるデータは,以下のとおりとする.東京都は特定事業者からの届出をホームページで公表している.特定事業者からの届出では,事業者名,所在地,事業分類,2009年度の保有自動車台数および自動車からのCO2排出量実績値が明らかとなっている.本研究ではこれらの情報から特定事業者の区市町村別の事業者数,事業分類別(本稿では,運送関係事業,製造業,商業,その他の事業の4つに分けることとする)の地域的特性,区市町村別の特定事業者の保有自動車台数およびCO2排出量を把握する.Ⅲ 結果および考察第一に,特定事業者からの届出数は区部の都心3区が多く,港区が143件,中央区が108件,千代田区が101件となっていた.江東区でも多く101件となっておりが,これらの区が100件以上である.これらに次いで50件以上の区は,足立区の93件,大田区の86件,新宿区の85件,板橋区の76件,江戸川区の71件,練馬区の55件,葛飾区の51件となっており,都心3区に隣接する新宿区以外は23区の外縁に位置する区となっていた.第二に,特定事業者の産業分類をみると,都心3区および新宿区では運送関係事業の割合は小さく,製造業,商業,その他の事業の3つの割合が大きい傾向にある.これら4区には,製造業,商業だけでなく,金融業等の本社や国・地方行政機関等が多く立地することによるものと考えられる.一方,区部外縁部の各区では運送関係事業の割合は大きく,他の3つの業種の割合が小さい傾向にある.第三に,2009年度における特定事業者の保有自動車台数をみると,千代田区が最も多く約35千台,次いで江東区の約24千台,港区の約21千台,中央区および新宿区の約15千台,渋谷区の約10千台となっており,これらの区が10千台を超えている.第四に,2009年度における特定事業者が保有する自動車からのCO2排出量をみると,江東区が最も大きく276千t-CO2で,次いで新宿区の138t-CO2,港区の128t-CO2,千代田区の118t-CO2,中央区の111t-CO2,足立区の108 t-CO2,江戸川区の102t-CO2となっており,これらの区が100t-CO2を超えている.以上のことから,区市町村ごとに特定事業者の立地数や事業の種類には地域的な差異があり,それに伴い特定事業者が保有する自動車から排出されるCO2排出量にも地域的差異があるものと推察された.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205696793088
  • NII論文ID
    130005473483
  • DOI
    10.14866/ajg.2013s.0_66
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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