首都圏における子供の多い世帯の分布の地域差とその要因

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  • Difference among regions distributed and the factor of a household with a lot of children in the Tokyo Metropolitan Area

抄録

1.はじめに<br>少子化の進行により平成17年にはじめて自然減による人口減少がおき、日本の人口減少社会に突入した。出生率低下の原因は様々あるが、従来の政策では1人の子を持つ世帯に対しての対策には良いかもしれない。しかし2人以上の子を持つ世帯に対しては十分とはいえない。少子化対策としてすでに子供を持つ世帯に向けた多産奨励政策の可能性と政策対象地域の絞り込みが必要であるといえるが、そのための現状把握が必要である。そこで本研究ではこれらを踏まえて首都圏における子供の多い世帯の分布の研究として第一に平成22年の1世帯あたりの子供の人数を市区町村ごとに分析し、子供の人数の地域的差異を検証する。第二に昭和55年から平成22年にかけての1世帯あたりの子供の人数のコーホート分析を5年ごとで行い、地域的差異の変化を明らかにする。<br>2.研究方法<br>本研究では研究対象の首都圏を伊豆・小笠原諸島を除く東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県と定義し、分析で扱う世帯・子供のデータは国勢調査を使用した。世帯の対象は子供を持つ世帯の大部分を核家族世帯が占めること、兄弟年齢差や今後も子供を産める環境にあることを考え核家族世帯の中の6歳未満の子供をもつ夫婦と子供から成る世帯(以下、夫婦世帯)とする。また子供の対象はさきほど設定した夫婦世帯のもつ子供とし、6歳以上の子供も対象とする。<br>3.結果と今後の課題<br>平成22年における1世帯あたりの子供の人数は都心部から離れた山間部の地域、平野部では鉄道路線のない地域、都心に直通する鉄道路線のない地域で多いことが明らかになった(図1)。これは立地上の関係で土地が安いからと推測される。またコーホート分析より子供の人数推移と規模の特徴から山間部、都心部、郊外部の3つのカテゴリーに分けることができた。山間部での人数は高い状態を維持しており、都心部での人数は年々下降傾向にあった。郊外部での人数は山間部と都心部の中間を維持しており、平成2年までは上昇傾向にあった。しかし平成7年以降は都心部と同様に下降傾向にあったが、一部の地域において人数の上昇が見られるところも確認できた。これらの分析結果に関して昨今の高層マンション人気に象徴されるようなニューファミリー層の居住地選択嗜好の影響を受けている可能性がある。これを踏まえた上で、実際のメカニズムがどのようになっているのか解明していく必要があるといえる。

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  • CRID
    1390001205696798592
  • NII論文ID
    130005457122
  • DOI
    10.14866/ajg.2012s.0_100159
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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