歴史的変遷を通した沖縄の森林利用の課題と展望

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タイトル別名
  • Issues and prospects of forest resource use through the historical transition in Okinawa

抄録

本島北部の国頭村・大宜味村・東村を中心とするヤンバル地域は,県全体の森林面積の約26%を占め,森林率は80%にも達している。ここは, 18世紀初頭の琉球王府時代から“杣山”として林業の中心であり,沖縄県になった今も森林業を担っている地域である。一方,イタジイ・イジュ等が優先する亜熱帯広葉樹林は,沖縄本島全域の水源地として非常に重要な森林地帯でもあり,しかも絶滅が危惧されているヤンバルクイナ,ノグチゲラ,オキナワトゲネズミなど多くの固有種の生息地域として,世界自然遺産登録の候補にもあげられている。そのため,ヤンバル地域の森林資源の利活用と環境保全の問題は,従来にも増して地域社会を巻き込んだ複雑な状況を呈してきている。本報告では,本土復帰の1972年以降このヤンバル地域で展開された森林・林業に関わる諸事象,例えば,沖縄振興開発計画事業,長期渇水給水制限と北部ダム開発,森林組合の設立とチップ工場の稼働,希少野生動植物種の発見,ヤンバル林道訴訟,広葉樹材チップ生産禁止,エコツーリズム・レク事業展開等を通して,今後のヤンバル地域の森林管理・利活用の在り方を模索しようとするものである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205706091648
  • NII論文ID
    130005048764
  • DOI
    10.11519/jfsc.124.0.610.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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