北部九州のスギ・ヒノキ人工林における土壌中の溶存炭素の動態

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タイトル別名
  • Dissolved carbon dynamics in forest soil of Japanese ceder and cypress plantation in northern Kyushu.

抄録

森林生態系において、水を介して林床に供給される溶存有機炭素(DOC)は鉱質土壌へ炭素が移動する際の主要な形態の一つであり、土壌への炭素の蓄積に影響を及ぼす重要な基質である。本研究では大小様々な間隙構造を持つ森林土壌中における水移動に伴うDOCの動態を明らかにするため、熊本県の鹿北試験地内の斜面に、主としてマトリックス流を経由する土壌水を採取するポーラスプレートテンションライシメータ(PPTL)と、主として粗大孔隙を経由する土壌水を採取するゼロテンションライシメータ(ZTL)を土壌設置して観測を行った。ZTLでは土壌水の採取が主に夏~秋の比較的多雨期に限定されるが、採取された土壌水のDOC濃度は、PPTLのそれよりも高く、DOC濃度が高いA0通過水の濃度により近い値を示した。また、斜面下部より上部の方がZTLの採水量が大きく、斜面上部の方がDOCの移動における粗大孔隙の寄与が比較的大きいと考えられた。このような粗大孔隙を経由する水移動は、高いDOC濃度の土壌水を土壌深部に輸送するプロセスとして重要であると思われる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205706092672
  • NII論文ID
    130005048758
  • DOI
    10.11519/jfsc.124.0.605.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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