スギとコナラ樹皮におけるセシウムの存在形態

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タイトル別名
  • Existence form of Cs in bark of Cryptomeria japonica and Quercus serrata

抄録

森林内に降下した放射性物質は表層土壌や葉、樹皮などに強固に付着することが報告されているが、時間経過とともに変化する森林生態系内での循環プロセスや生態系外への流出プロセスについてはほとんど分かっていない。除染も含めた森林管理や福島県産木材利用において、樹木に吸着した放射性物質や根から吸収された放射性物質の動態を明らかにすることが求められている。本研究は樹皮に吸着した放射性セシウム(Cs)の動態を明らかにすることを目的に、第一歩として樹皮における放射性Csと安定同位体Csの存在形態を調べた。 名古屋大学構内で採取したスギとコナラの樹皮を粉砕し、安定同位体Csを吸着させた。吸着したCsの酢酸アンモニウムと希硝酸に対する溶脱量を調べたところ、スギ樹皮は吸着量の約55%、コナラ樹皮は吸着量の約20%が溶出した。この結果から、安定同位体Csは樹皮の陽イオン交換サイトにも吸着するが、多くは他の形態で安定的に存在することが示唆された。また、福島県で採取したコナラ樹皮について同様に酢酸アンモニウムと希硝酸に対する放射性Csの溶出量を調べた結果、放射性Csの抽出率は0.1~0.5%と非常に低かった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205706525824
  • NII論文ID
    130005048518
  • DOI
    10.11519/jfsc.124.0.389.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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