小笠原諸島の荒廃地における固有樹種シマホルトノキ植栽後11年間の植生変化と森林復元の現状

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タイトル別名
  • Vegetation change during 11 years after plantation of endemic Elaeocarpus photiniaefolius and wasteland restoration to native forest in Ogasawara Islands

抄録

荒廃地の生態系復元は生物多様性保全の有力な手段である.特に面積の狭い生物多様性ホットスポットでは在来種の生息地面積を維持する意味で重要といえる.本研究では小笠原諸島父島の荒廃地において2001年に固有種シマホルトノキ938本を試験植栽しており,11年後の現状を報告する.11年後の植栽苗の生存率は33.6%であった.このうち林内区はほとんど枯死したが,ギャップ区は約半数が生存していた.また,植栽時の苗高は約30cmであったが,11年後にはギャップ区で10m以上に達した.以上より,本種は小笠原の荒廃地植栽に適すると判断された.また,ギャップ区では植栽後6年間はギンネムやホナガソウ,アワユキセンダングサ等の外来種が苗を被圧したが,11年後は外来種は苗により被圧され,大きく減少していた.撹乱地に侵入した外来雑草は繁茂して遷移を止めることがあるが,シマホルトノキ植栽はこれら外来雑草の抑制に有効と考えられた.一方,植栽地で天然更新した樹種は固有種ヒメツバキ,外来種リュウキュウマツ等であったが,個体数が少なく,植栽樹種が優占していた.在来樹種の多様性が高い森林の復元には更に時間を要すると思われた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205706994816
  • NII論文ID
    130005048898
  • DOI
    10.11519/jfsc.124.0.731.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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