積雪荷重による山地斜面の沈下現象

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タイトル別名
  • Subsidence in mountain slope induced by snow load

抄録

東北地方の日本海側や北陸地方に位置する山地斜面では冬季に数メートルもの積雪がある。春期になるとそれらは大量の融雪水となって斜面内部へ浸透し斜面の不安定化をもたらすことが知られている。一方で近年は、厳冬期の積雪は荷重(重さ)として土層を鉛直方向に圧縮させて、斜面安定に影響を与えることも指摘されている。これまで土層が積雪荷重によって圧縮される過程が観測された事例は無かったことから、本研究では斜面の鉛直変位を計測可能なセンサーを開発し、山地斜面(地すべり地)の沈下・隆起過程を3年間にわたって観測した。<br> 観測の結果、積雪期には積雪層の増大に伴って土層は沈下し、最大で土層厚(3.5m)の0.6-0.8%の鉛直圧縮が生じた。春期になり積雪深(積雪荷重)が減少すると土層は隆起に転じたが、消雪後も鉛直圧縮成分の一部は残留し積雪前の位置には戻らなかった。一連の現象は、地すべり土層が積雪荷重を受けて圧密された結果であると考えられた。限られた観測結果(3寒候年)において最大積雪荷重の大きい年ほど最大鉛直圧縮量が大きい傾向が見られ、積雪荷重と斜面の沈下量は調和することが示唆された。

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  • CRID
    1390001205708511360
  • NII論文ID
    130005474668
  • DOI
    10.11519/jfsc.125.0_667
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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