イジュの人工交配による種子の生産

DOI
  • 板鼻 直榮
    森林総合研究所林木育種センター西表熱帯林育種技術園
  • 楠城 時彦
    森林総合研究所林木育種センター西表熱帯林育種技術園
  • 古本 良
    森林総合研究所林木育種センター西表熱帯林育種技術園

書誌事項

タイトル別名
  • Seed production by artificial mating in <i>Schima wallichii</i>

抄録

イジュは、沖縄県の造林指定樹種のひとつであり、最近5年間の新植面積の約20%を占める。イジュの育種を進めるためには、人工交配技術の開発も重要な課題と考える。そこでイジュの人工交配を行い、果実数の推移や種子の生産性を調査した。イジュは、虫媒花で雄蕊群が1個の雌蕊を囲む雌雄同花である。人工交配では一般に除雄を行うが、除雄不要であれば効率的に交配できる。そこで除雄の要否を把握するため蕾に袋掛け処理を行い、無処理の場合と比較した。蕾1個当たりの充実種子数は無処理0.79~1.05に対して、袋掛け処理では0.00~0.02と著しく少なかった。別の3個体を供試し、自殖を含めて9組合せの人工交配をヤブツバキの方法と同様に行った。受粉時及びその後に果実数を調査し、果実採取後に充実種子数を調査した。果実の残存率は、除袋以後の変化が少なく、10月中旬には他殖で47~86%と高いが、自殖では0~17%と低かった。また、交配した蕾1個当たりの充実種子は他殖0.7~1.5個に対して自殖では0.0~0.2個と少なかった。以上のことから、イジュの人工交配においても除雄は必要であるが、少数の自殖種子を許容できる場合、除雄の必要性は低いことが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205709249024
  • NII論文ID
    130005490861
  • DOI
    10.11519/jfsc.126.0_327
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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