強度に抜き伐りした奥多摩スギ林における10年間の総括

書誌事項

タイトル別名
  • Changes of varied forest conditions during the 10 years by selective felling of the cedar stand

説明

東京農業大奥多摩演習林内の林齢45年前後のスギ人工林を対象に、2001年に本数で60%、40%、20%ほどの抜き伐りを行い、ヒノキおよびオオバアサガラを樹下植栽した。その後、継続的に上木、下木の成長、林内の光環境や土壌流亡、生物多様性等について調査した。そこで、無伐採の林分も含めて、10年余に渡る調査結果を取りまとめて強度抜き伐りの評価を試みた。調査の結果、抜き伐り程度が強い区ほど、残存木の肥大成長は増加するものの、林分単位での蓄積量は低い傾向にあり、下木の成長は両種とも大きかった。林内の光環境は、40%ほどの抜き伐りより低い区では林内照度は伐採後数年で低下した。林冠閉鎖は、枝の伸長よりも枝葉量が増えることにより枝が下がり樹冠が広がったためといえた。土壌流亡量は、下層植生量の多いほど少ない傾向があったが、下木のオオバアサガラの繁茂が目立つと増え、下木を間引くと再び減った。下層植生が増えることは野ネズミの種数、個体数にも影響し、多様性は増した。しかし、強度の抜き伐り区では、2007年に同様の伐採をした以降、風害等の気象害が目立って増えた。よって、60%ほどの抜き伐りは十分な検討のうえ実施が望ましいと言える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205709264000
  • NII論文ID
    130005474798
  • DOI
    10.11519/jfsc.125.0_88
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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