樹木構成成分のCs保持特性

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タイトル別名
  • Cesium holding properties of woody components

抄録

原発事故によって放出され、樹木に沈着したCsは、一部は樹皮等に固定され、一部は樹体内を移動しているという報告がある。放射能で汚染された森林の長期的管理において、樹体内のCsの動態及び存在形態を把握することは重要である。放射性Csがどのような形態で沈着したかについては諸説あるが、本研究では水溶性イオンとして樹皮に沈着したCsの動態及び存在形態を明らかにする事を目的とし、安定Csを用いてスギ樹皮・コナラ樹皮、及び樹皮の主成分(セルロース・ヘミセルロース・リグニン)のCs吸着特性を調べ、同族元素であるKと比較した。スギ樹皮・コナラ樹皮は高いCs吸着能を示し、スギ樹皮はコナラ樹皮よりも多くのCsを吸着した。また、両樹種とも吸着したCsのほとんどは酢酸アンモニウムで溶脱した。これらの吸着特性はKにも共通して確認された。これらの事から、樹皮へのCsイオンの吸着は主に陽イオン交換による物であり、その吸着動態はKに類似している可能性が示唆された。樹皮構成成分への吸着では、セルロースよりもヘミセルロースやリグニンがCsを多く吸着し、いずれの成分でも吸着したCsのほとんどが酢酸アンモニウムで溶脱した。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205709498112
  • NII論文ID
    130005490805
  • DOI
    10.11519/jfsc.126.0_391
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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