森林の窒素飽和が下流域に及ぼす影響評価

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タイトル別名
  • The effects of N-saturated forests on river water quality in Fukuoka

抄録

福岡市近郊を流れる多々良川流域は、大気からの窒素沈着量が高い。そのため、森林から流出する河川水中の硝酸イオン濃度が増加傾向にあり、森林における窒素飽和が進行していると考えられている(Chiwa et al.,2012)。本研究では、多々良川流域における河川水中の硝酸イオンと窒素,酸素同位体を分析し、渓流水からの高い硝酸濃度の流出がみられる窒素飽和状態の森林が下流域の水質へ与える影響を評価した。年間を通して、本流域北部では上流部から下流部へ行くに従い硝酸濃度が増加する傾向がみられたが、南部では上流部から下流部へ行くに従い硝酸イオン濃度が増加する傾向がみられた。河川水中の硝酸イオン中のδ15Nは、流域北部と流域南部の両方で下流部へ行くに従い上昇する傾向を示した(p<0.05)。一方でδ18Oは上流部から下流部にかけて大きな変化はみられなかった。下流部では生活排水などの硝酸イオンが流入していると考えられるが、流域の北部と南部の河川で硝酸イオン濃度の変化に違いがみられたのは、下流部における生活排水の流入量が異なっている可能性が考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205709590272
  • NII論文ID
    130005490849
  • DOI
    10.11519/jfsc.126.0_376
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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