埼玉県入間地域の里山を構成するコナラの遺伝的多様性

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タイトル別名
  • Genetic diversity of <i>Quercus serrata</i> in Satoyama landscape of Iruma Area, Saitama Prefecture.

抄録

里山は生物の生息の場として重要であるが、個々の生物種の遺伝的多様性の維持に対してどのような役割を果たしているかは分かっていない。本研究は、里山を構成するコナラの遺伝的多様性の現状を明らかにし、議論の基礎とすることを目的とした。<br>埼玉県入間地域のコナラ18集団で成木および実生(17のみ)、それぞれ約20個体の葉を採取した。それらを核SSR14座で解析し、各集団の遺伝的多様性および集団間の遺伝的分化の程度、遺伝構造を明らかにした。また、集団ごとに近隣樹林のパッチ数および樹林面積を算出し、遺伝的多様性との相関分析を行った。その結果、全ての集団の遺伝的多様性を示す指数は高い値であったが、実生集団は成木集団より有意に遺伝的多様性が低く、集団間分化の指数が高かった。また、集団間の系統樹では成木-実生の17ペアのうち10ペアが同じクレードに入った。一方、周辺樹林地の分布と多様性との間には関係がなかった。以上より、当該地域の里山はコナラの高い遺伝的多様性の保持の場として働いているが、将来的には遺伝子流動の制限により遺伝的多様性の減少と集団間分化が進む可能性があることが示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205710926336
  • NII論文ID
    130005474504
  • DOI
    10.11519/jfsc.125.0_600
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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