分布型流出モデルにおいて土壌浸透能の空間的不均一性と撥水性を考慮した表面流流出解析: ヒノキ人工林流域への適応
書誌事項
- タイトル別名
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- Including spatial heterogeneity of infiltration and soil water repellency in distributed runoff model for examining overland flow generation in Japanese Cypress forest
説明
現地観測と分布型流出モデルを用いて,ヒノキ林流域における表面流の発生および流域の流出量と応答を解析した。分布型流出モデルの基礎となる流域地形の解析では,等高線による地形要素の分割を用いた。等高線に対して,直角に交わる線を基準として分割することで,水移動のベクトル方向および,尾根部や谷部での水分配をより適切に再現することができる。また,地形要素間(TOPOTUBE)の水移動を,1次元で取り扱うことができる利点もある。表面流の発生については,Horton(1933)の関係を用いた。表面流がTOPOTUBEを流下するプロセスについては,キネマティックウエーブ式を用いた。現地での観測や計測で得られた,土壌浸透能や土壌撥水性をパラメータとしてモデルに組み込んだ。土壌撥水性を考慮することによって降雨の初期から表面流が発生することを再現でき,表面流発生応答の観測値と計算値の整合性が向上した。ただし,ピーク流出時において,計算値が観測値に対して大きくなる傾向があり,モデルは表面流発生を過大評価していることが考えられた。モデルパラメータとして流域内の土壌浸透能が均一であるとしている点が,過大評価している要因と考えられた。そこで,不均質な土壌を想定して,全TOPOTUBEの40%に浸透能の高い箇所(浸透スポット)をランダムに与えた。その結果,表面流の発生分布や観測値と計算値の整合性が改善された。森林斜面から河川への表面流の流出過程においては,流域スケールでの土壌表面条件(植生や浸透能)の不均質性を考慮する必要があることが考えられた。
収録刊行物
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- 水文・水資源学会研究発表会要旨集
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水文・水資源学会研究発表会要旨集 20 (0), 7-7, 2007
水文・水資源学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205711685760
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- NII論文ID
- 130004627874
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可