斜面の方向を考慮した短波放射補正による積雪水量評価

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of snow equivalent using corrected short wave radiation considering slope direction

説明

本研究の対象河川は上流部を山岳氷河に位置しており,雪解け水や氷河の融解による水が主な水源となっている.しかし,これまで陸面過程モデルSiBUCではこの氷河の融解過程を正しく再現できておらず,中央アジアでは夏期に見られる流出のピークが解析値では3カ月程早くに見られる問題がある.先行研究では長波放射を標高依存による補正を行うことでこの問題の解決を試みたが,1カ月程ピークの時期を遅らす結果にとどまった.ザラフシャン川は乾燥・半乾燥地域である中央アジアに位置しており,タジキスタンとウズベキスタンの貴重な水資源となっている.また,上流国タジキスタンで暖房用に水力発電のためのダムが建設予定であり,今まではウズベキスタンが灌漑に使用していた夏期に多くあった流出量が減少する可能性が高い.このように2国間で水の需要期間が異なる地域ではより再現性の高いハイドログラフを作成するためモデルの精度を上げる必要がある.そこで,本研究では先行研究での長波放射補正に加え,短波放射を斜面の向きと勾配を考慮し入力値に補正を行うことで,モデルの再現性を向上させることを目指した.南向き斜面では一日の短波放射量が増加し,北向き斜面では減少するが,春から秋にかけては南向き斜面の増加量より北向き斜面の減少量が上回るため,本流域のように極端に南向き斜面が多くない地域では斜面の向きを考慮することで全体として短波放射量は減少する.そのため,春先での融解量が減少することで夏期まで氷河が溶け残り,その結果夏期の融解量が増加し,流量も増加することが見込まれ陸面過程モデルでのハイドログラフはより実測値に近づくことが予想される.  

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205711715328
  • NII論文ID
    130005491871
  • DOI
    10.11520/jshwr.28.0_100028
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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